小脇差し 長船康光(生ぶ無銘)
(おさふねやすみつ)
Kowakizashi:Osafune Yasumitsu
古刀・備前 室町初期 大業物
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長：33.2(一尺一寸弱) 反り：僅か 元幅：2.55 元重ね：0.46 穴1
平造り、三つ棟尋常。 表裏共に幅広の棒樋に添え樋があり、ハバキ上で丸留める。 鍛え、板目肌流れ心に上品に肌立ち、地沸厚く付き、映り立ち、地景良く入り、地鉄概ね精良。 刃文、細直刃調で、刃縁匂い勝ちに小沸付いて締まる。 帽子、直調で先尖り心に返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。 白鞘共木ハバキ。 時代研磨(細かなヒケ有り)。 白鞘入り。
【コメント】
本作は、生ぶ無銘で『長船康光』の極めが付された佳品です。
寸法一尺一寸弱、三つ棟の造り込み、身幅の割に寸の長い小脇差しは、室町初期応永頃にまま見られる典型的なスタイルです。
匂い勝ちで明るく締まった細直刃調の刃、やや流れ心の小板目肌、室町初期でこういう出来は、応永備前、応永信国、越後の山村正信辺りかと思いますが、その中から応永備前へ極めたのは何ともお洒落であり、極めて妥当かと思います。
確かにこの美しい刃文、直調と乱れ調の備前映りがほのかに立つ地鉄は、鎌倉期の長船長光、景光を彷彿とさせるものがあります。
室町期の無銘作で、特別保存まで付けていることは、最も時代の上がる上質な作である証、研ぎはやや古い感じですが、大きな疵なく、地刃も健全、渋い味わい応永康光です。
