短刀 月山貞一(刻印)(初代)
(がっさんさだいち)


Tanto:Gassan Sadaichi



新々刀・摂津 江戸最末期~明治最初期
保存刀剣鑑定書付き
月山貞利鞘書き有り




刃長:22.1(七寸三分) 反り:僅かに内反り 元幅:2.24 元重ね:0.62 穴1



 平造り、庵棟低め。 表は『南無妙法蓮華経』、裏は『清正公大神儀』の文字彫り。 鍛え、地沸厚く付き、地景をふんだんに交えた綾杉肌が判然と現れ、地鉄概ね精良。 刃文、小沸出来の直刃調の焼き刃は、刃縁にほつれ、打ちのけ状掛かり、匂い口潤むように明るい。 帽子、直調で烈しくほつれて先強く掃き掛け返る。 茎生ぶ、先深い栗尻、鑢化粧筋違い。 銅に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。  



【コメント】
 貞一は月山弥五郎と言い、天保七年、近江国犬山郡須越村(現滋賀県彦根市須越町)に生まれ、七歳の時に貞吉の養子となりました。十一歳の頃から鍛刀を学び、父晩年には、代作代銘を数多くこなしています。『雲龍子』と号し、家伝の綾杉伝の他、五ヶ伝を巧みにこなし、明治の廃刀令後は、鍛刀では生計が立てられず、その素晴らしい才能を生かして、備前、相州上工の写し物を数多く製作、明治三十九年には帝室技芸員を拝命、大正七年、八十四歳で没しました。
 彫りの名人としても名高く、栗原信秀、本庄義胤と並んで『幕末の三名人』とも呼ばれ、その巧みな彫技によって、月山派の作品に刀匠彫りという新境地を開拓しました。
 銘振りは『月山貞一』、『月山雲龍子(源)貞一』がほとんどで、頭に『浪華(花)住』、『大阪住』、『帝室技芸員』を添える場合が多く見られます。また慶応から明治初年に掛けての作には、『貞』の字を亀の子風に形取った、同工特有の刻印をまま見受けます。
 本作には年紀がありませんが、前述のように茎に刻印が見られますので、慶応末年から明治初年頃、同工三十代前半の作、寸法七寸三分の健全な短刀で、見事な綾杉鍛えを示した優品です。
 綾杉肌が判然と現れた地鉄は、地沸すこぶる厚く付き、肌目に沿って地景がうねるように働いており、直刃調の焼き刃は、匂い勝ちで地の働きが刃縁に作用してほつれ、打ちのけ、金筋が頻りに掛かり、匂い口潤むように明るい出来映えです。
 表には『髭題目』による『南無妙法蓮華経』、裏には『清正公大神儀(せいしょうこうだいじんぎ)』の自信彫りがあります。
 『髭題目』とは、日蓮宗で、『南無妙法蓮華経』の七文字の内、『法』の字を除く六文字の筆端を髭のように長く走らせる書体を言います。
 『清正公大神儀』とあるのは、清正公こと加藤清正は、『知、仁、勇』の三徳を兼ねる名将で、武運も強かったことから、勝ち運の神として崇拝されており、これを祀っているのが、東京都港区白金台にある覚林寺、ここは日蓮宗寺院ですから、表の『髭題目』とも辻褄が合います。
 本作はこれらに所縁のある人物による注文打ちの御守り短刀、全てに於いて隙のない逸品、現状保存鑑定ですが、特別保存までは確実です。
 『正真 帝室技芸員月山貞一刻印 先祖伝来綾杉鍛法以秘術』の鞘書きは、ひ孫に当たる無鑑査月山貞利による貴重なもの、同工の短刀でこれ程スカッと気持ちの良い作は中々見当たらないでしょう。強くお薦めしたい帝室技芸員月山貞一の名品です。










【売約済】商品番号:M-584 短刀 月山貞一(刻印)(初代) 保存刀剣鑑定書付き 月山貞利鞘書き有り

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