刀 (太刀銘)肥前国住藤原忠廣(二代)
(ひぜんのくにじゅうふじわらのただひろ)
寛永十一年八月吉日(一六三四年)
Katana:Hizennokuniju Fujiwarano Tadahiro
新刀・肥前 江戸初期 大業物
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:63.8(二尺一寸強) 反り:1.6 元幅:3.00
先幅:1.91 元重ね:0.62 先重ね:0.41 穴2(内1埋)


【コメント】
忠廣は、初代忠吉の嫡子として慶長十九年に生まれ、幼名を平作郎、後に父同様、新左衛門と改めています。寛永九年八月、父の死に伴って、十九歳で二代目を相続、寛永十八年七月に『近江大掾』を受領、肥前橋本忠吉家二代目として、肥前刀王国の基礎を盤石なものとした立役者です。
作刀期間は、寛永から元禄まで六十余年、元禄六年、八十一歳没。
作風は、父同様、小板目詰んだ小糠肌に、伝統の肥前直刃を真骨頂とし、稀に乱れ刃もあり、互の目を主体に湾れ、丁子の交じる出来、足長丁子風のものもあります。
銘振りは、初期は『肥前国住藤原忠廣』、受領後は『肥前国住近江大掾藤原忠廣』、『肥州住近江大掾藤原忠廣』、『近江大掾藤原忠廣』となり、年紀作はほとんどありません。
本作は均整の取れたしなやかな刀姿を示した一振り、この寸法ですので、間違いなく特注品かと思います。
本作に見られる『肥前国住藤原忠廣』銘は、初代晩年の寛永六年八月から同九年八月まで見られる『献上銘』、若しくは寛永十年二月から同十八年七月まで見られる二代の最初期銘のいずれかです。本作の場合、寛永十一年紀が入っていますので、二代最初期銘、二十一歳の頃の作となります。
地沸を微塵に厚く付けた小板目肌は、地色明るく、細かな地景を織り交ぜた肥前小糠肌の典型を示しており、互の目丁子乱れを主体とした刃文は、刃縁に美しい沸粒が万遍なく付いて明るく冴え、刃中沸足が繁く入り、地には飛び焼き風の湯走りも見られるなど、決して豪壮な姿ではありませんが、焼き場に何とも言えない柔らかさと深みがあります。
如何にも大名持ちと思われる特注作、近江大掾忠廣の最初期銘、貴重な年紀入りの優品です。


お買いものガイド
