短刀 武蔵大掾藤原忠廣
(むさしだいじょうふじわらのただひろ)
Tanto:Musashidaijo Fujiwarano Tadahiro
新刀・肥前 江戸初期 最上作 最上大業物
保存刀剣鑑定書付き

刃長:29.6(九寸八分弱) 反り:なし 元幅:2.91 元重ね:0.81 穴1


【コメント】
初代肥前忠吉の重要刀剣短刀、同工中最も華やかな皆焼刃を焼いた晩年円熟期の傑作、『肥前刀大鑑』所載品です。
初代忠吉は、橋本新左衛門と称し、元亀三年生まれ、佐賀藩主鍋島勝茂にその鍛刀技術を認められ、藩工に任じられました。慶長元年、二十五歳の時、藩命により、一門の専属彫り師宗長と共に京の埋忠明寿門下に入り、慶長三年に帰国すると、佐賀城下へ移り、本格的な作刀が始まります。
銘振りは、慶長十九年頃まで『肥前国忠吉』、以降元和末年頃まで『肥前国住人忠吉作』、寛永元年頃からは『武蔵大掾藤原忠廣』と切り、源姓から藤原姓へ改めています。寛永九年八月、六十一歳没。
作風は、山城来一派を思わせる直刃を本位としており、美しい肥前小糠肌は新刀随一とされます。その他にも稀に備前、大和、美濃、相州の名工を狙ったと思われる作風もあります。
新刀最上作、最上大業物鍛冶としても名高く、人気実力共に一門の最高峰鍛冶です。
本作は初代晩年の忠廣銘による貴重な短刀です。
年紀はありませんが、銘字の横棒の逆鏨が特に強調された銘振りは、寛永五、六年に多く見られる銘振りです。
寸法九寸八分弱、身幅しっかりとして、重ねの厚い力感溢れる短刀で、地刃すこぶる健全、手にした時の重量感が違います。
小板目肌良く詰み、板目、細かな流れ肌を交えて上品に肌立つ精良な地鉄、直湾れ調で、刃縁小沸良く付いて明るく締まり気味となり、ほつれ、二重刃風の沸筋が頻りに掛かる出来で、帽子も直調で先が掃き掛けて小丸に返っています。
おそらくは手掻とか当麻辺りを狙った大和伝の作と鑑せられます。
地に少し緩みがありますが、地刃の鍛えは見事、鑑定は令和元年のもので保存鑑定ですが、特別保存までは100%保証です。
初代忠吉の貴重な大和伝短刀、これは見逃せません。

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