短刀 越前守助廣
（えちぜんのかみすけひろ）
Tanto:Echizennokami Sukehiro
新刀・摂津 江戸前期 最上作 大業物
特別保存刀剣鑑定書並びに特別貴重刀剣認定書付き
薫山先生鞘書き有り
刃長：19.3（六寸四分弱） 反り：僅かに内反り 元幅：2.17 元重ね：0.71 穴1
【コメント】
二代助廣は、寛永十四年、摂津打出村（現兵庫県芦屋市）に生まれ、大坂に出て初代助廣の門人となり、後に養子となって二代助廣を襲名、寛文七年、大坂城代青山因幡守宗俊の抱え鍛冶となりました。言わずと知れた濤瀾刃の創始者であり、井上真改と双璧を成す大坂新刀鍛冶の最高峰です。
作刀期間は、承応二年から天和二年までの三十年余り、銘の変遷としては、最初は基本『越前守助廣』、寛文七年二月からは、『津田越前守助廣』、いわゆる『角津田』となり、延宝二年二月から天和二年正月までは『丸津田』銘となり、同年三月、四十六歳で急逝。
作風は、最初期は丁子に互の目交じり、小丁子乱れ、焼きの高い足長丁子など、全て初代風ですが、寛文三年の初代没後は、濤瀾風の刃が交じる互の目乱れへ移行、焼きの谷に玉を焼くようになります。同工の代名詞でもある濤瀾刃が完成するのは、『丸津田』銘になってからです。稀に湾れ調、直刃もあります。
本作は同工には大変珍しい短刀、鑑定書に『時代明暦頃』とありますので、最初期作になるかと思います。
寸法六寸四分弱、僅かに内反りで、重ねグッと厚め、地刃すこぶる健全な優品です。
板目、杢目、小板目肌が良く鍛えられて上品に肌立つ地鉄は、地景繁く入り、下半は互の目乱れに湾れ調で、上半は皆焼となり、刃縁の沸匂い一際深く、明るく冴え、刃中に丁子心の刃を交えています。
皆焼の作風は、南北朝期の相州鍛冶を始めとして、室町末期頃には島田、千子、美濃関、宇多、末備前、伯州廣賀、豊後高田一派等々、全国的に流行しました。
本作はやや小振りで重ね厚く、刃中に丁子心の刃を交えていますので、末備前の皆焼短刀に範を取ったものと思われます。
新刀期の短刀は僅少で、特に大坂新刀は脇差しが多い中、助廣の短刀は余りにも貴重、地刃冴え渡る一級品、ハバキも金無垢二重の台付き、新刀最上作大業物、二代助廣最初期作、これは見逃せません。
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