刀 (太刀銘)肥前国忠吉(九代)
(ひぜんのくにただよし)
Katana:Hizennokuni Tadayoshi
新々刀・肥前 江戸末期 拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:70.0(二尺三寸一分) 反り:1.4 元幅:3.21
先幅:2.10 元重ね:0.73 先重ね:0.56 穴1

打ち刀拵え(江戸末期 全長98 柄長23 鞘 黒石目地 こじり、四分一石目地 栗型しとどめ有、鯉口、黒の呂 柄 錦布に黒柄巻き 縁頭、四分一石目地無模様、こじりと同作 目貫、升に菊花図 鍔 鉄槌目地撫角形、鋤出し彫僅かに象嵌色絵、海辺に雁の図)付き。

【コメント】
九代忠吉は、天保三年生まれ、八代の嫡子で百太郎と称し、後に春平に改銘、安政六年に父が没すると九代忠吉を襲名、藩工として活躍しましたが、明治四年の廃刀令を機に廃業、明治十三年、四十九歳没。
忠吉家は十一代まで続いていますが、刀鍛冶としてはこの九代が最後になります。銘振りは、『肥前国忠吉』、『肥前国藤原忠吉』、『藤原忠吉作』などと切り、 大半は五字忠吉銘、作は殆ど見ません。また父同様、生涯受領していません。
父の晩年に九代が代銘した作があり、『肥前国橋本新左衛門藤原忠吉 同銘百太郎藤原忠吉』とあることから、『百太郎忠吉』とも言います。
九代の作が少ないことに付いては、八代と混同されているケースが少なからずあると考えられており、その理由として、両名共に初代に次いで五字忠吉銘が多い点、銘振りが似ている点、昭和初期頃までは、九代の存在が余り知られていなかった点などが挙げられます。
ただ銘を良く見れば、『国』、『吉』の字にそれぞれ特徴があり、九代の方が目釘穴が大きいなどの相違点に気付きます。現在の鑑定では、しっかりとした代別がされています。
本作は大変貴重な九代忠吉正真作、鑑定書にも『九代』と但し書きがあります。
寸法二尺三寸一分、切っ先やや鋭角に延び心、反りやや浅めで、身幅カチッとした勇壮な一振りです。
小板目に小杢目を交えた地鉄は、地色すこぶる明るく、細かな地景が良く働いた精良な小糠肌を呈しており、直湾れ調の焼き刃は、刃縁に沸匂いが帯状に厚く付いて明るく冴え、刃中小足、葉が繁く入るなど、正に王道の肥前直刃で、初代の作と錯覚する程、中々良く出来ています。
豪壮無比な姿ではありませんが、地刃すこぶる健全、特に欠点はありません。
勿論九代は初掲載、名門忠吉一門の掉尾を飾る刀工の類い希なる技量が存分に示された優品、時代の外 装付きで登録も地元佐賀県、肥前刀コレクションには必ず加えて頂きたいお薦めの逸品です。





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