刀 西蓮(無銘)
(さいれん)
Katana:Sairen(Mumei)
古刀・筑前 鎌倉末期
特別保存刀剣鑑定書
探山先生鞘書き有り

刃長:80.9(二尺六寸七分) 反り:2.4 元幅:3.11
先幅:1.94 元重ね:0.68 先重ね:0.43 穴4


【コメント】
西蓮は、良西の子、入西の兄、実阿の父、左文字の祖父と伝えられる刀工で、鎌倉末期の筑前鍛冶代表です。在銘現存作は僅少ですが、本阿弥光山による古刀押形本『光山押形』には、『筑前国博多談議所国吉法師西蓮 文保元年二月(一三一七)』と銘のある太刀が所載されており、これによって国吉と西蓮が同一人物であること、国吉の入道銘が西蓮であること、博多談議所に仕えた刀工であることが分かります。博多談議所とは、鎌倉幕府が九州統轄のため博多に設置した役所で、鎮西談議所とも呼ばれます。
数少ない年紀作に見る活躍期は、鎌倉末期の嘉元(一三〇三~〇六)から文保(一三一七~一九)頃、銘振りとしては、前述の長銘の他、『国吉』、『西蓮』、『談議所国吉』、『談議所西蓮』などが残されています。
作風は、基本良西、実阿らと同様に鍛えが大模様に肌立って流れ、地色に黒みがあり、焼き刃は直刃調でほつれて、刃縁が潤み勝ちとなるなど、いわゆる古作九州物の伝統を良く示したものが多く見られます。
本作は大磨り上げ無銘ながら西蓮と極められた一振り、寸法二尺六寸七分、踏ん張りのある勇壮な姿を留めており、元来は三尺を遙かに超える大太刀であったことが分かります。
板目に大板目、杢目、波状の流れ肌を交えてうねるように肌立つ地鉄は、地色やや黒みを帯び、地斑状に白け映り立ち、細直刃調の焼き刃は、刃縁良く沸付いてほつれ、打ちのけ、二重刃、食違い刃を交え、刃中小足、葉入り、金筋、砂流し掛かる出来です。
昭和五十六年(一九八一)、第二十八回の重要刀剣に『談議所西蓮』銘の生ぶ太刀(寸法二尺六寸八分)がありますが、本作はそれに姿、出来が良く似ています。これで生ぶ在銘なら大変なことです。
物打ち付近の棟から鎬地に掛けて、ズバッと深い刀疵が今も生々しく残されており、強靱な太刀であったことを示しています。
探山先生鞘書きにも『本刀は地刃に同工の特色が把握され、所伝を首肯し得る優品也。』とあるように、スタイル、地刃の出来等々、西蓮と言えばこういう出来という見所が、随所にちりばめられた典型的な作、国吉法師西蓮の代表作と言える逸品、強くお薦め致します。





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