太刀 波平行安(末波平)
(なみのひらゆきやす)
Tachi:Naminohira Yukiyasu
古刀・薩摩 室町末期
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:69.0(二尺二寸八分弱) 反り:1.9 元幅:3.00
先幅:2.00 元重ね:0.88 先重ね:0.66 穴2


【コメント】
波平一派は、古伝書によると、平安後期に大和から薩摩国谷山郡波平の地に移住したと伝わる正国を祖とし、以降江戸末期まで九百年余り続いた一大流派です。正国の子が行安、以降一派は、『行安』又は『安行』の名前を嫡流的に継承し、且つ一門の多くが『安』又は『行』の一字を通字としています。
南北朝を下らない同派の作を『古波平』、室町期以降の作を『波平』と総称、更にその中でも室町末期のものを『末波平』と細分化して呼ぶのを慣例としています。
作風は、一貫して大和伝を墨守、総体的に流れてネットリとした柾心のある鍛えに、白け映り立ち、波状に綾杉風の肌が出る場合もあります。焼きの低い穏やかな直刃を主体とし、ほつれ、打ちのけ、二重刃掛かり、刃縁は潤み勝ちとなります。ただ室町末期頃になると、備前伝、相州伝に影響を受けた乱れ刃も見られるようになります。
本作は貴重な波平行安の生ぶ茎在銘品、太刀銘に切っていますが、鑑定書にも『末波平』と但し書きがあるように、室町末期の作、天文頃の作と鑑せられます。
寸法二尺二寸八分弱、反りやや深めに付き、鎬がすこぶる高く、重ねの厚い太刀風の造り込みは、豪壮なスタイルではありませんが、地刃健やかでしっかりとした重量感があります。寸法、姿からして、この頃の陣太刀用に作られた特注品と鑑せられます。
大板目、大杢目、波状の流れ肌が幾重にも重なったうねるような地鉄は、所々強く肌立ち、肌目に沿って地景が繁く入り、焼刃は小沸出来の穏やかな直刃で、地鉄の働きが刃縁に作用して、太い金筋、砂流しとなって現れています。
鎬地に鍛え肌等が少し出ますが、焼き刃は元から先まで健やか、特にこの地鉄の働きは大きな見所、波平一派の嫡流である行安の貴重な在銘現存作です。


お買いものガイド
