太刀　信濃国住宮入清宗作
(しなののくにじゅうみやいりきよむねつくる)
平成七年八月吉日(一九九五)　為打ち銘有り

Tachi:Shinanonokuniju Miyairi Kiyomune

現代・長野
自筆箱書き付き

刃長：83．7(二尺七寸六分強)　反り：2．9　元幅：3.68
先幅：2.80　元重ね：0.87　先重ね：0.64　穴1

鎬造り、鎬高め庵棟尋常、大切っ先。　表裏棒樋をハバキ下で掻き流す。　鍛え、小板目に板目、杢目を交えて所々大模様に肌立ち、地沸微塵に厚く付き、地景繁く入り、地鉄良好。　刃文、大互の目乱れを主体に小互の目、丁子風の刃、やや逆掛かった刃を交え、刃縁小沸付いて匂い深く明るく締まり、刃中葉、互の目足入り、金筋、砂流し掛かる。　帽子、乱れ込んで沸付き金筋掛かり、先尖り心に掃き掛け返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。　銅に金着せ太刀ハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。　刀身のみで1，274g、白鞘入りで1，765g。

【コメント】
清宗は、宮入栄三と言い、大正十三年(一九二四)生まれ、長野県埴科(はにしな)郡坂城(さかき)町出身、人間国宝宮入昭平(行平)の十一歳下の弟に当たります。
昭和十六年から兄昭平の下で鍛刀を学び、同二十三年に独立、兄同様相州伝を真骨頂としており、相州貞宗、源清麿等に範を取った作品を多く残しています。
初め清平、平成元年(一九八九)には、最も影響を受けた源清麿から一字賜って清宗へ改銘、平成十五年(二〇〇三)、七十九歳没。
本作は平成七年(一九九五)、同工七十一歳の頃の作、真骨頂とも言える清麿写しの大太刀、寸法二尺七寸六分強、豪壮無比で姿も抜群に良く、且つ入念なる注文打ちの傑作です。
地沸微塵に厚く付き、太い地景がうねるように繁く入った強靱な鍛え、大互の目乱れを主体に小互の目、丁子風の刃、やや逆掛かった刃を交えた刃文は、刃縁明るく締まり、刃中葉、互の目足入り、金筋、砂流し掛かるなど、兄昭平に勝るとも劣らない覇気溢れる出来映えです。
貴重な自筆箱書き付きで、間違いなく同工円熟期の代表作と成り得る優品です。