脇差し 備前国住長船清光作
(びぜんのくにじゅうおさふねきよみつさく)
永禄二年八月日(一五五九)
Wakizashi:Bizennokuniju Osafune Kiyomitsu
古刀・備前 室町末期
特別保存刀剣鑑定書付き
薫山先生及び探山先生鞘書き有り

刃長:36.0(一尺一寸九分弱) 反り:0.4 元幅:3.25 元重ね:0.82 穴2(内1埋)


【コメント】
室町中後期以降の備前長船鍛冶及びそれらによる作刀を総称して末備前と呼びます。その末備前鍛冶にあって清光を名乗る者は多数いますが、天文(一五三二~五十五)頃の五郎左衛門尉、その子で、永禄(一五五八~七十)頃の孫右衛門尉清光を筆頭に、与三左衛門尉、源五郎、彦兵衛尉、孫兵衛尉、弥右衛門等がその代表工とされます。また『末備前直刃と言えば清光』の定評があるくらい、全般的に直刃の名品が多いのも特徴です。
本作は正に清光の真骨頂とも言える典型的な広直刃で、且つ巧みな末備前彫りのある優品です。
寸法一尺一寸九分弱、身幅広く、重ね厚い地刃健全な一振り、俗名はありませんが、探山先生の鞘書きに、『俗名をにわかに特定し難いが、やや源五郎清光に近い銘である。』とあります。
前述したように源五郎清光は、一派の代表工、天文から永禄頃を活躍期としており、現存作には、本作のような重ねの厚い平脇差しが多く残されています。
広直刃調の焼き刃は、末備前鍛冶としては最も幅広な部類に入るもので、刃縁匂い勝ちに締まり、刃中葉、小足繁く入るなど、典型的な出来を示しています。身幅も広いので、何とも迫力があります。 見過ごせないのが彫り物、表は腰元櫃内に真の倶利伽羅、裏は薙刀樋に添え樋があり、一見して生ぶ彫りと分かる良い彫りです。
末備前鍛冶の彫り物は、刀でも短刀でも稀にありますが、大体が腰元に草の倶利伽羅、真の倶利伽羅、三鈷柄附き剣、八幡大菩薩の陰刻などです。本作のように平造り風の脇差しで、樋内に真の倶利伽羅を浮き彫りしたものはまず見ないので、かなり貴重です。
探山先生鞘書きにも、『清光家が得意とする広直刃を焼き、刃縁締まって明るく冴え、帽子も巧みに仕上げるなど、出来出色也。』とあります。
長船源五郎清光と鑑せられる稀少な現存品で、大きな疵なく、力感あふれる魅力的な一振りです。



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