刀 相州住綱廣
(そうしゅうじゅうつなひろ)
Katana:Soshuju Tsunahiro
新刀・相模 室町末期 拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:75.4(二尺四寸九分弱) 反り:2.0 元幅:3.21
先幅:2.17 元重ね:0.78 先重ね:0.54 穴2

打ち刀拵え(近代作 全長104 柄長23.7 鞘 黒の呂鞘 下げ緒、金茶 柄 親鮫に赤黒柄巻 縁頭、赤銅魚子地桐紋散し図 目貫、金色絵二匹獅子図 鍔 鉄地丸形真鍮平象嵌、唐草図)付き。

【コメント】
室町末期を代表する相州鍛冶と言えば、山村綱廣一派であり、五郎入道正宗以降、廣光、秋廣、廣正と続いてきた相州鍛冶の伝統を継承する名門です。天文頃を初代とし、以降現代まで十六代に渡ってその名跡は継承されています。初代は島田義助の一族と伝わり、小田原北条氏に抱えられ、小田原相州鍛冶の牽引役として活躍、後に鎌倉扇ヶ谷(おうぎがやつ)に所領を得て移住、相州正宗の正系を名乗りました。
作風は、互の目丁子を主体とした華やかな乱れ刃を本位とし、特に廣光、秋廣らが創始した皆焼刃の美しさを継承している点も大きな見所です。
本作は下が生ぶ穴で二寸程磨り上がっており、元来二尺七寸程あったことが分かります。身幅、重ねしっかりとした一振りで、刀がズシッと重いです。
ここで本作を含めた綱廣の代別、特に初~三代に関してですが、年紀があれば、天文頃までが初代、以降永禄頃までが二代、慶長は三代という目安はあるものの、年紀作が僅少であり、また古くから初二代同人説もあるため、『相州住綱廣』銘で年紀がない場合、はっきりとした代別は中々困難です。本作に付いては、銘振り、スタイル等からして初二代と鑑せられ、更に初代作とされる現存品の中に本作と同様のスタイル、作域を示した長尺刀が数振り残されていることから、一応初代作とさせて頂きます。
互の目丁子乱れを主体に多種の刃を交えた焼き刃は、総体的に焼き幅広く出入りがあり、地に飛び焼き多数で物打ち付近は皆焼風となるなど、綱廣らしい覇気あふれる典型的な出来映えです。
この頃の綱廣には、一尺二~五寸程の平脇差しが多く、刀でこれ位寸法があり、且つ健全な乱れ刃の作は中々出て来ません。
表裏の『天照太神』、『八幡大菩薩』の文字彫りも、同工にまま見られる典型的な生ぶ彫りです。
地に少し鍛え肌もありますが、大変立派な綱廣、生ぶなら大変なことです。末相州筆頭鍛冶による絶対に見逃せない佳品です。






お買いものガイド
