脇差し 伯耆守藤原信高(二代)
(ほうきのかみふじわらののぶたか)
寛文二年寅十二月吉日(一六六二)
Wakizashi:Houkinokami Fujiwarano Nobutaka
新刀・尾張 江戸前期
特別保存刀剣鑑定書及び日本刀剣保存会鑑定書(優秀作)付き
刃長:54.8(一尺八寸一分弱) 反り:1.0 元幅:3.36
先幅:2.41 元重ね:0.83 先重ね:0.61 穴2
【コメント】
尾張の信高一派は、美濃関七流三河弥兼国の流れを汲む名門で、飛騨守氏房とは同族に当たります。
初代が天正初め頃、尾張国清須関鍛冶町に移住、清須在住時の織田信長に仕えて鍛刀し、信長より『信』の字を賜り信高と改銘しました。信高の名跡は、幕末まで十代に渡ります。
本作は、大変貴重な二代信高の在銘正真年紀入り作です。
二代は初代信高の子で、河村伯耆と言い、慶長八年生まれ、寛永十年に伯耆守受領して家督を継承、寛文二年、六十歳で隠居して閑遊入道と号しました。元禄二年、八十七歳没。
銘振りは、『伯耆守藤原信高』より『前伯州信高入道』銘の方が多く、『前伯州閑遊入道』とも切ります。また二代単独銘よりも、三代との合作銘を多く見ます。
本作は、寛文二年、同工六十歳の頃、寸法一尺八寸一分弱、身幅、重ねガシッとした勇壮な脇差しで、地刃すこぶる健全、手持ちズシッと重いです。
良く詰んだ綺麗な地鉄、刃縁に荒沸が良く付いた互の目乱れ主体の刃を上手に焼いています。
前述したように、二代の単独銘で、この銘は珍しく、更に年紀入りとなれば、これは見逃せません。