刀　雲州住忠貞
（うんしゅうじゅうたださだ）

Katana:Unshuju Tadasada

古刀・出雲　室町後期　拵え入り
保存刀剣鑑定書付き

刃長：65.3（二尺一寸六分弱）　反り：2.1　元幅：3.06　先幅：1.92　元重ね：0.74　先重ね：0.44　穴1

鎬造り、鎬高く庵棟低め、中切っ先。　鍛え、板目やや沈み勝ちで、所々流れて上品に肌立ち、地沸良く付き、地鉄良好。　刃文、互の目乱れ主体で、小互の目、尖り風の刃、角張った刃を交え、刃縁匂い勝ちで締まり気味となり、僅かに湯走り掛かり、刃中小足、葉繁く入る。　帽子、湾れ込んで、先小丸風に長く返る。　茎生ぶ、先急な刃上がり栗尻、鑢大筋違い。　銅に金鍍金二重ハバキ（鍍金の剥がれ有り）。　時代研磨。
打ち刀拵え（全長92.5　柄長20.5　江戸後期　鞘　焦げ茶の呂塗　下げ緒黒　しとどめ赤銅　柄　親鮫に黒柄巻き　縁、赤銅鋤下彫金色絵、笹りんどう唐草に鈴虫図　頭角　目貫、赤銅容彫色絵　鍔　鉄地竪丸形透）入り。　

【コメント】
忠貞は、雲州仁多郡、現島根県仁多郡で鍛刀した奥出雲鍛冶、初代を室町初期応永頃とし、以降同銘後代が数名おり、文安（一四四四～四九）、長享（一四八七～八九）、永正（一五〇四～二一）、天文（一五三二～五五）、文禄（一五九二～九六）年紀の作が残されています。
本作は、年紀はありませんが、寸がやや詰まって先反り気味、茎の短い姿は、室町中後期特有の片手打ちスタイルを示しており、永正頃の作と鑑せられます。
互の目乱れ主体の刃は、小互の目、尖り風の刃、角張った刃を交え、刃縁匂い勝ちで明るく締まって、刃中小足、葉繁く入るなど、末備前風の良い刃を焼いており、大きな疵なく、総体的に健全です。
茎がやや荒れていますが、味のある良い銘で、生ぶ茎穴一つ、江戸期の外装入り、奥出雲の郷土刀としても貴重な現存作です。