脇差し 雲次(無銘)
(うんじ)
Wakizashi:Unji(Mumei)
古刀・備前 鎌倉末期
拵え付き(特別保存刀装具鑑定書付き)
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:45.6(一寸五寸強) 反り:0.8 元幅:2.56
先幅:1.77 元重ね:0.54 先重ね:0.41 穴2
脇差拵え(幕末期 全長73 鞘 黒の呂塗 小柄、赤銅地金色絵、花束図 総金具 鉄地と銀地、銀地鋤出彫、唐草図 鉄地布目象嵌、唐草図 柄 親鮫に茶蛇腹巻き 目貫、銀地の月に薄図と金地の渡り鳥図 鍔 鉄地南蛮鍔、唐草雨龍図)付き。
【コメント】
本作は、大磨り上げ無銘ながら、『雲次』と極められた佳品です。
寸法一寸五寸強、やや反り浅めの上品な造り込みで、茎には、表は真の倶利伽羅、裏は独鈷杵の痕跡があることから、元来は二尺弱の小太刀であったことが分かります。また額銘の痕跡もありますが、判読不明となっています。
雲生、雲次、雲重らの刀工は、鎌倉後期から南北朝期に掛けて、備前国宇甘(うかい)庄で鍛刀したことから宇甘派、又は雲類とも呼ばれます。
雲次は、雲生の子と伝えており、重要文化財七口、重要美術品十三口を数える名工です。現存する年紀作が正和(一三一二~一七)から建武(一三三四~三六)であることから、活躍期は鎌倉末期から南北朝初期、後に雲生と共に京へ上り、後醍醐天皇の御番鍛冶を務めたと云います。
板目に杢目を交えた地鉄は、細やかに肌立って縮緬風を呈し、ほのかな地斑映り立ち、湾れ調で互の目交じりの刃文は、刃縁匂い勝ちにやや沈み心となり、刃中葉、逆足、互の目足良く入っています。
少し鍛え肌もありますが、縮緬風の地鉄、逆足の入り方など、如何にも雲類らしい特徴的な地刃の働きを示しており、鎌倉末期の作ながら、刃は総体的に健全、付属の外装も、金無垢目貫など、特別保存刀装具鑑定が付いた立派な作です。
内外楽しめるお薦めの逸品です。