刀 備中守橘康廣
(びっちゅうのかみたちばなのやすひろ)
Katana:Bicchunokami Tachibanano Yasuhiro
新刀・摂津 江戸前期 拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:67.7(二尺二寸三分強) 反り:1.2 元幅:3.20
先幅:2.13 元重ね:0.75 先重ね:0.50 穴1
【コメント】
康廣は、紀州和歌山の生まれ、富田源蔵と称しました。父土佐将監為康、兄陸奥守為康らと共に、紀州石堂派を興し、後に兄為康と大坂へ移り、大坂石堂派の祖として、一派の繁栄に一役買った名工でもあります。
活躍期は寛文頃、作風は終始一貫、備前一文字丁子を追求しており、中には判然と乱れ映り立つ古調な出来もあり、一見すると、古刀と見紛う程です。
本作は、寸法二尺二寸三分強、切っ先詰まり気味、反りやや浅め、典型的な寛文新刀スタイル、身幅しっかりとして、地刃健全です。
匂い勝ちの丁子乱れ主体の刃は、焼き刃の間隔が密に詰まって出入りも細かく、加えて焼きも鎬に掛かる程高いため、大変見応えがあります。
裏の鎬地に小さな炭籠もりが一ヶ所ありますが、それ以外は全く問題ありません。
盛期の古作一文字を思わせる備中守橘康廣の自信作、紀州及び大坂石堂の真骨頂とも言える魅力的な丁子刃を堪能出来る佳品です。