大脇差し(来写し)
(貼り付け銘)兼定(之定初期銘)
Ohwakizashi:Yamatodaijo Yasusada
古刀・美濃 室町末期 最上作 最上大業物
保存刀剣鑑定書付き

刃長:57.6(一尺九寸) 反り:1.6 元幅:2.52
先幅:1.75 元重ね:0.57 先重ね:0.38 穴1


【コメント】
本作は、磨り上げながら、和泉守兼定の在銘大脇差し、鑑定書には、『(貼銘)兼定(之定初期銘)』とあります。
『貼銘(てんめい)』とは、貼り付け銘のこと、『額銘』と同じく銘を切り取りますが、新たな茎部分の周囲と馴染むように目立たなく貼り付けたものです。
和泉守兼定は、孫六兼元と並ぶ美濃鍛冶筆頭で、『定』の字のウ冠の中を『之』と切ることから『ノサダ』の呼称があり、年紀作に見る作刀期間は、明応二年(一四九三)から大永六年(一五二六)まで、天文(一五三二~五五)初年頃に没したと云います。
銘振りは、最初『濃州関住兼定作(造)』と切り、明応十年(一五〇一)頃までは、『定』の字を楷書で切ります。それ以降『之定』銘となり、永正七年(一五一〇)頃に『和泉守』を受領、以降『和泉守(藤原)兼定作』と切ります。短刀の場合、『兼定』二字銘が圧倒的に多く見られます。
作風は、頭の丸い互の目、互の目丁子刃が主体で、湾れ、矢筈刃、箱刃、尖り刃が交じり、刃縁の柔らかく締まった作が多く、短刀には、来写しの直刃が多く見られます。
本作は、前述したいわゆる来写し、現存作には短刀が多いのですが、元々刀であったものを脇差しに仕立て直しています。
寸法一尺九寸、やや細身の上品なスタイル、地に少し緩みもありますが、地刃は総体的に健全です。
来風の直刃に範を取りながら、本作のように、小互の目心の節刃を交えるのが 美濃物と特徴です。
和泉守を受領する前の同工前期作、銘もピシッと鮮明に残されており、『貼銘』となっている点も大変興味深いです。
あの織田信長もその凄まじい斬れ味に驚愕したのは有名な話。
最上作にして最上大業物、和泉守之定の佳品です。





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