刀(長船長義写し) 日州住人国正作之(現景正)
(にっしゅうじゅうにんくにまさこれをつくる)
平成十八年秋(二〇〇六)
Katana:Nisshujunin Kunimasa
現代・宮崎 拵え付き
無鑑査刀匠

刃長:71.6(二尺三寸六分強) 反り:1.8 元幅:3.11
先幅:2.38 元重ね:0.82 先重ね:0.57 穴1

打ち刀拵え(全長108 柄長26 現代作 鞘 黒の呂塗 下げ緒茶 柄 親鮫に焦げ茶裏革柄巻き 縁、赤銅研磨地無文 頭、角 目貫、銀地這い龍図 鍔 鉄地丸形肉彫透、龍図)付き。

【コメント】
国正は、松葉一路(いちろ)と言い、昭和三十四年、宮崎県日向市出身、昭和五十八年、二十四歳の頃、自身が居合い抜刀に使用する刀の作刀を依頼したことが切っ掛けで、山梨の小林康宏に入門しました。小林刀匠と言えば、鉄板をも斬り裂く『リアル斬鉄剣』作者として名高い、現代刀工の革命児です。
昭和六十二年に師が没すると、同門兄弟子、岡山の安藤広清の下でさらに学び独立、故郷日向市の自宅に鍛刀場を構えました。平成二年の新作刀展覧会にて初入選すると、以後毎年出品し、日刀保協会会長賞、薫山賞、寒山賞等の特賞を連続受賞、平成二十六年に無鑑査に認定されました。令和四年九月には、宮崎県無形文化財保持者に認定、同年国正から景正へ改銘しています。
作風は、鎌倉中期から南北朝期の備前物を狙った、豪壮で華やかな作を得意とします。中でも長船長義写しは、同工の真骨頂とも言える作風で、新作名刀展では何度も特賞を受賞しています。
本作は、平成十八年(二〇〇六)、同工四十七歳の頃の作、これ正に同工が得意とする『長船長義写し』です。
寸法二尺三寸六分、切っ先やや延び心、焼き刃総じて高く、丁子掛かった刃に互の目、小互の目、角張った刃を交え、刃縁匂い勝ちに締まり、刃中葉、小足繁く入り、地に細かな飛び焼き掛かる出来です。
通常、『長義写し』と言えば、南北朝然とした大切っ先で大柄なスタイルが大半ですが、本作はそこまで仰々しくなく、抑制を効かせながら、何とも言えない凄み、迫力を感じる優品に仕上げています。起伏のある焼き刃も、単調ではなく変化に富むなど、高い技量とセンスの良さを感じます。
鞘を払って1,148g、最高級居合い抜刀用としても使えますが、鑑賞用としてお薦めします。
令和時代の『リアル斬鉄剣』作者、無鑑査松葉一路国正(景正)、現代最強の斬れ味です。


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