太刀 古波平
(生ぶ無銘)
Tachi:Ko Naminohira(Mumei)
古刀・薩摩 鎌倉末期
特別保存刀剣鑑定書付き
薫山先生鞘書き有り

刃長:76.2(二尺五寸一分強) 反り:2.4 元幅:2.91
先幅:1.52 元重ね:0.77 先重ね:0.43 穴3


【コメント】
波平一派は、古伝書によると、平安後期、大和から薩摩国谷山郡波平の地に移住したと伝わる正国を祖とし、江戸末期まで九百年余り続く一大流派です。正国の子、行安が跡を継いで以降、一派は行安或いは安行を嫡流的に継承し、且つ門人の多くが、『安』や『行』の字を通字としています。
南北朝期を下らない作を『古波平』と呼びます。一派皆一貫して、大和伝を基調とした作風を墨守しており、総体的に流れて柾心のある鍛えに、白け映りの立つ地鉄、波状に綾杉風の肌合いが出る場合もありますが、月山や下原鍛冶のように、判然とした渦巻き型にはなりません。焼きの低い穏やかな直刃を主体とし、ほつれ、打ちのけ、二重刃の掛かる出来、刃縁は潤み勝ちで、生ぶならば、刃区上で焼き落としとなるものがほとんど、室町期の作でも時折見られます。
本作は、寸法二尺五寸一分強、生ぶ無銘の太刀、雉子股風に仕立てられた茎、反り高く、何とも優美な姿を示しています。
古波平と極められた一振り、薫山先生晩年の鞘書きでは、豊後国定慶(豊後行平の子)、時代建暦(一二一一~一三年)頃の極めがあります。
小板目が綺麗に詰んだ鍛えに、弱い流れ肌が所々肌立ち、それらに交じって、やや沈み勝ちに波状に重なり合った綾杉風の肌合いも見られ、総体的に白けるような映りも立っています。糸直刃調の焼き刃は、小沸出来で、多少危うい箇所は見受けられるものの、大きく刃が欠け出すこともなく、刃区上で焼き落としとなっています。
地に鍛え肌等が多少ありますが、特別保存鑑定、上質な金着せの太刀ハバキが付いています。
鎌倉期の古波平鍛冶による生ぶ太刀、地刃が如何にも古調で、大変渋い味わいの貴重な現存品です。

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