脇差し 堺浦住水野正範
(さかいうらじゅうみずのまさのり)
賜台覧 昭和三十九年二月四日(一九六四)
(茎棟)摂津住人月山源貞一彫之
Wakizashi:Sakaiuraju Mizuno Masanori
現代・大阪
特別保存刀剣鑑定書付き
自筆箱書き有り

刃長:33.2(一尺一寸弱) 反り:0.3 元幅:4.56 元重ね:0.96 穴1


【コメント】
正範は、水野貞三郎と言い、明治三十五年(一九〇二)、大阪府堺市出身、人間国宝隅谷正峯の師匠でもある桜井正幸門人で、相州正宗、貞宗、長船長義、応永備前、保昌写しを得意としました。
本作は、昭和三十九年(一九六四)、同工六十二歳の頃の作、銘文にある『堺浦』とは、大阪府堺市の古称、また『賜台覧(たいらん)』と刻されていますが、これは昭和二十七年(一九五二)、水野鍛錬所開設の際に、三笠宮崇仁親王(昭和天皇の弟)が鍛錬所を台覧された栄誉を後世に伝えるべく、これ以後茎に刻しています。台覧とは、皇族など高貴な人物が見ること。
寸法一尺一寸弱、身幅4.56㎝、重ねも1㎝弱あります。
出来は、自筆鞘書きに『以相州正宗伝』とあるように、正宗写しの烈しい焼き刃です。
茎棟に銘が刻してあるように、表裏の珠追い昇り龍、三鈷柄附き剣は、人間国宝月山貞一による見事な月山彫り、同工五十七歳の頃で、その真骨頂とも言える精巧緻密な彫り口が存分に示されています。
貞一が彫りを添えるケースは稀ですが、正範の子の貞昭が、貞一の門人という繋がりから、このような合作が生まれたものと思われます。
特別保存鑑定、自筆鞘書きもピシッと付いた貴重な現存品、他に類を見ない大珍品です。





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