短刀 日州古屋住国廣作
(にっしゅうふるやじゅうくにひろつくる)
天正十四年六月日(一五八六年)


Tanto:Nishhuhuruyaju Kunihiro



古刀・日向 安土桃山期
最上作 拵え付き
第四十回重要刀剣指定品
探山先生鞘書き有り




刃長:28.5(九寸四分強) 反り:僅か 元幅:2.53 元重ね:0.69 穴1



 平造り、庵棟低い。 鍛え、板目に大板目、杢目、刃寄りに柾流れを交えた鍛えは、肌目に沿って地沸、細かな地景をふんだんに配し、総体的に肌立ってザングリとした肌合いで、棟寄りはほのかに白け心があり、区下より判然と水影立ち、地鉄良好。 刃文、刃区を深めに焼き込んだ刃文は、互の目乱れを主体に、矢筈風の刃、頭の丸い互の目、やや角張った刃、尖り風の刃を交えて焼いており、刃縁良く沸付き、焼き頭に金筋、砂流しが頻りに掛かり、匂い口も明るく締まり気味に冴えて、地には所々丸い飛び焼きも見られる。 帽子、湾れ調で先掃き掛け長く返る。 茎生ぶ、先僅かに刃上がり栗尻、鑢浅い勝手下がり。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨。 白鞘入り。
 小さ刀拵え(江戸後期 全長53センチ 研ぎ出し鮫縦刻み鞘 瓦金 虫に食われた痕有り、鯉口、返り角、栗型 金無垢しとどめ 頭は角 小柄、赤銅毛彫波の図に桐紋と鶴丸紋の据え紋象嵌 下げ緒、茶に薄茶模様 柄 親鮫に鉄紺裏革柄巻き、縁赤銅魚子地鋤出し彫金象嵌、菊に唐草図 頭は角、目貫、赤銅容彫金色絵桐紋図 鍔 赤銅研磨地喰出形、金銀銅平象嵌蔓に橘の図 切羽、素銅に金着せ)付き。 



【コメント】
 新刀最上作、堀川国廣の重要刀剣短刀、世上『日州古屋打ち』、『天正打ち』と呼ばれる、同工前期作の典型を示した地刃の出来、その貴重な銘振りも含め、同工傑出の一振りです。 
 堀川国廣は田中国廣と言い、享禄四年、日向国中西部に位置する古屋の地、現在の宮崎県東諸県郡綾町入野古屋(ひがしもろかたぐんあやちょういりのふるや)に生まれ、通称覚右衛門、幼名を鷹忠と言いました。父国昌に鍛刀を学び、戦国末期当時、日向国全域に四十八の支城を構え、最盛期を迎えていた日向伊東氏に仕えました。天正五年、島津の侵攻によって主家が敗北すると、それに従って豊後落ちしましたが、天正十年頃には古屋に戻ったとされ、その後は古屋を拠点とし、山伏として各地を流浪、美濃国岐阜、相模国小田原、上野国足利などで鍛刀しました。一説によると豊臣秀吉が、天正十四~十五年の九州攻めで島津へ攻め入った際に、国廣の名を知り、後に京へ呼び、後陽成天皇の御前にて鍛刀させたと云います。天正十八年に『信濃守』を受領、慶長四年頃からは京都一条堀川に定住、郷里から同族を呼び寄せるなどして一門を形成、門下からは、末弟とされる国安を始め、出羽大掾国路、大隅掾正弘、越後守国儔、平安城弘幸、山城守国清、和泉守国貞、河内守国助等々、名だたる名工が輩出されました。
 堀川一門は、同時期の京の名門、三品一門や埋忠一門と覇を競いながら、新刀期最大派閥となり、その中で棟梁たる国廣は、『堀川物』と呼ばれる一つのジャンルを確立、重要文化財『山姥切国廣』を始め、重要文化財十口、重要美術品九口を数える名匠です。
国廣が京堀川に定住する以前の作は、『日州古屋打ち』、『天正打ち』と呼ばれ、末相州や末関を狙った乱れ刃、定住後は、『堀川打ち』、『慶長打ち』と呼ばれ、相州上工を狙った、穏やかな刃調の作が多く見られます。
 年紀作に見る活躍期間は、天正四年から慶長十八年(一六一三年)までの約四十年間、慶長十九年四月、八十四歳にて没したと云います。銘振りは、前期は『日州古屋住国廣作』、『九州日向住国廣作』などが多く、諸国流浪時は、銘文に『山伏之時作之』と添え、後期は『国廣』、『藤原国廣』、『信濃守国廣』、『洛陽一条住信濃守国廣造』、『城州一条堀川住信濃守藤原国廣』等々、他にも多数あり、作刀毎に銘字も一定しません。
 本作はその銘文から分かるように、いわゆる『日州古屋打ち』、『天正打ち』の前期作、同工五十六歳の頃に当たります。寸法九寸四分、身幅の割に寸が延び、重ねの厚めの姿で、板目に大板目、杢目、刃寄りに柾流れを交えた鍛えは、肌目に沿って地沸、細かな地景をふんだんに配し、総体的に肌立ってザングリとした肌合いで、棟寄りはほのかに白け心があります。刃区を深めに焼き込んだ刃文は、互の目乱れを主体に、矢筈風の刃、頭の丸い互の目、やや角張った刃、尖り風の刃を交えて焼いており、刃縁良く沸付き、焼き頭に金筋、砂流しが頻りに掛かり、匂い口も明るく締まり気味に冴えて、地には所々丸い飛び焼きも見られます。刃区下から水影が判然と立つのは、同工の手癖であり、大きな見所となっています。
 探山先生の鞘書き、図譜にもあるように、末関と末相州との折衷的な乱れ刃を焼くのは、前期作の典型、加えて研ぎも素晴らしいので、地刃の美点、見所が余す所なく存分に示されています。茎の状態、サビ色、銘振りも万全、気持ちの良い茎です。
 付属の小さ刀拵えは江戸後期作、鮫の研ぎ出し鞘に二十以上の縦刻みを入れ上に、その鮫の一粒一粒を無作為に剥がし、そこに黒漆を掛けて、斑点のような模様を出すという、気の遠くなるような手間を掛けています。金具類も金銀銅平象嵌の赤銅埋忠鐔、金無垢のしとどめなど、細部にまでこだわった上質な金具を使用して、抜群のセンスでまとめています。
 京の都は応仁の乱で一度焦土と化しましたが、信長、秀吉らの全国統一過程に於いて復興を遂げ、再び政治経済の中心都市として繁栄、鎌倉、南北朝期太刀の磨り上げ姿に、新時代の気風を盛り込んだ慶長新刀もこの地で興りました。この一翼を担ったのが堀川国廣であり、また同工なくして新刀の繁栄はなかったと言えるでしょう。
 同工前期作で状態の良いものは僅少であり、銘振り、出来も典型作に限った場合、巡り逢う機会はほとんどありません。この素晴らしい外装と合わせて考えると、これが最初で最後かもしれません。絶対に逃してはいけない名品中の名品です。
















商品番号:V-1684 短刀 日州古屋住国廣作 第四十回重要刀剣指定品 拵え付き 探山先生鞘書き有り

価格: ¥9,500,000 (税込)
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