脇差し 辻村越中守藤原高平(花押)(初代兼若)
(つじむらえっちゅうのかみふじわらのたかひら)
元和八年三月三日(一六二二年)


Wakizashi:Tsujimura Eccyunokami Fujiwarano Takahira



新刀・加賀 江戸初期
良業物
第十八回重要刀剣指定品
寒山先生鞘書き有り
『加州新刀大鑑』所載品




刃長:35.3(一尺一寸七分弱) 反り:0.4 元幅:3.29 元重ね:0.72 穴1



 平造り、三ッ棟低め。 表裏棒樋をハバキ上で角留めにし、樋内に『水成巴字初三日』、『源起周年後幾霜』の文字を浮き彫りにする。 鍛え、板目肌が良く詰み、所々流れ心に上品に肌立ち、地沸厚く付き、繊細な地景を配し、地鉄良好。 刃文、湾れに互の目交じりで、刃縁に美しい小沸が厚く付いて匂い深く、刃中互の目足入り、匂い口潤むように明るい。 帽子、直調で先僅かに掃き掛け小丸に長く返る。 茎生ぶ、先浅い栗尻、鑢勝手下がり。 赤銅二重風ハバキ(金銀銅色絵の雲龍図を施す)。 時代最上研磨。 白鞘入り。 



【コメント】
 越中守高平(初代兼若)の重要刀剣、加賀前田藩からの注文打ち記念刀、自身彫り、年紀入りの傑作、『加州新刀大鑑』所載品です。
 加州初代兼若は、辻村甚六と言い、四方助兼若の子に当たります。天正頃の美濃鍛冶で、大志津の末流と伝わっており、慶長十年前後に加賀へ移り、加州兼若一派を興したとされています。子に景平、越後守有平、又助兼若、八幡山清平と銘じています。一派は代々加賀藩工を務めました。
 初代の作風は、初期は互の目乱れを主体とした美濃伝が多く、鍛えも板目に流れ肌が絡んでザングリとした感じとなります。中期以降は互の目丁子、大乱れを交えた華やかな出来が多くなりますが、箱刃、逆丁子の刃文が確立されるのは二代以降になります。
 銘振りは、前半は『賀州住兼若造』、後半は『越中守藤原高平』がほとんどを占め、年紀作に見る活躍期は、慶長十二年二月(一六〇七年)から寛永五年二月(一六二八年)までとなります。兼若銘の最終年紀は、元和五年九月(一六一九年)、元和七年正月(一六二一年)からは高平を名乗っていますので、この間に『越中守』を受領、高平へ改銘したことになります。
 また初代は現存作が少ないため、地刃健全なもの、年紀等の入ったものは大変希少です。
 本作は高平銘の後期作、寸法一尺一寸七分弱、三ッ棟の造り込み、身幅、重ねのガシッとした何とも雄壮な平脇差し、出来、健全さ申し分なく、銘振りも貴重な優品です。
 板目肌が流れ心に上品に肌立って冴えた地鉄、湾れに互の目交じりの焼き刃は、刃縁に美しい小沸が万遍なく付いて匂い深く、刃中柔らかな互の目足入り、繊細な金筋、砂流し掛かり、匂い口も潤むように明るい出来を示しています。
 一見新刀とは思い難い程古調な地刃の雰囲気は、初代ならではのものであり、派手な出来ではありませんが、地刃が良く冴えて見応えがあり、造り込みも力感に溢れています。
 表裏樋内にある『水成巴字初三日』、『源起周年後幾霜』の浮き彫りは、『水は巴(は)の字を成す初めの三日、源(みなもと)は周年より起こりて後幾霜(のちいくそう)。』と読みます。
 これは平安中期に編纂された漢詩、漢文、和歌を集めた詩文集、『和漢朗詠集』にある『曲水の宴(きょくすいのうたげ)』に付いて詠った一節です。
 『曲水の宴』とは、水の流れのある庭園で、その流れに沿って文人らが座り、流れてくる盃が自分の前を通り過ぎるまでに歌を作って競う行事のこと。中国では、紀元前の昔、周の時代から三月三日(桃の節句)には、水辺で不浄を清める行為、いわゆる禊(みそぎ)を行う風習があり、その際にこの宴を行うようになったと云われています。日本でも奈良時代には通例になっています。
 それを踏まえると『水の流れは、(円を描くように)巴の字を描く三月の初め三日のこと、(曲水の宴の)源流は、周の時代に始まったと云われるが、一体どれ程の長い年月が経ったことであろう。』というような意になるかと思います。
 初代の彫り物では、二本樋、三本樋など樋の類いは割と見ますが、樋内に浮き彫りしたものはまず見ませんので大変貴重、寒山先生鞘書きにも『表裏文字彫物見事』とあるように彫り口も巧みです。
 また本作は、初代高平銘の代表作として『加州新刀大鑑』に所載されている逸品で、大鑑では『藩侯の下命によるものならん』、つまりは藩主からの注文打ちであろうとしています。この頃の加賀藩主は三代目前田利常、利常は美術工芸に造詣が深く、中でも刀工の優遇に厚かったため、鍛冶町に特別に屋敷を与えて鍛刀させていたぐらいですので、こういった記念刀を注文していても何ら不思議ではありません。
 加州初代兼若、円熟期の注文打ち会心作、金銀銅色絵の雲龍図を施したハバキ、辻村姓、花押、年紀を添えた銘振り等々、コレクション価値のすこぶる高い素晴らしい新刀重要です。







 



 

 




商品番号:V-1796 脇差し 辻村越中守藤原高平(花押)(初代兼若) 第十八回重要刀剣指定品 寒山先生鞘書き有り 『加州新刀大鑑』所載品 

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