刀 無銘(伝当麻)
(でんたいま)
Katana:Den Taima
古刀・大和 鎌倉最末期~南北朝初期 拵え付き
第二十回重要刀剣指定品
刃長:70.8(二尺三寸四分弱) 反り:1.3 元幅:3.05
先幅:2.06 元重ね:0.77 先重ね:0.53 穴3
半太刀拵え(江戸後期 全長98 柄長22.5 鞘 石目に螺鈿散、剣片喰紋鞘 金具類、全て同図同作 赤銅石目地高彫金象嵌、龍図 柄 茶革柄巻き目貫、四分一地容彫色絵、三鈷剣図 鍔 赤銅魚子地据紋象嵌色絵 金魚子耳、両櫃金魚子地埋め、雲龍図 切羽は素銅に金着せ、銀着せの大小)付き。
【コメント】
無銘(伝当麻)の重要刀剣、古作大和物然とした出来、造り込みに、相州伝気質の強い沸の煌めきを加味した、同派無銘極めの白眉と言える名品です。
当麻鍛冶は、二上山(にじょうざん)の麓、大和国北葛城郡当麻(現奈良県葛城市当麻)にある、当麻寺に従属していた鍛冶集団で、鎌倉後期の正応(一二八八~九二年)頃の年代と伝える国行を祖とし、以降南北朝期に掛けて活躍、門下には友行、友清、友長、友綱、国清、長有俊、有法師などいますが、在銘現存作は極僅かです。
同派の作風は、数少ない在銘品に限って言えば、良く錬られた板目に流れ肌交じる地鉄、刃文は沸匂い深い直刃調で互の目心を交え、刃縁に喰い違い刃、ほつれが掛かるなど、山城物的な雰囲気のある穏やかな出来ですが、古来より本阿弥家などによる無銘極めの作には、地景を交えた板目がうねるような地鉄、刃中に煌めく金筋など、地刃の沸の働きがすこぶる烈しく、一見相州行光辺りと見紛うような、相州伝気質の強い作が多く見られるのが大きな特徴です。
本作は昭和四十六年、第二十回の重要刀剣指定品、寸法二尺三寸四分弱、鎬すこぶる高く、鎬幅広く、反りやや浅めの造り込みは、鎌倉最末期~南北朝初期に掛けての作と鑑せられます。
板目に大板目、波状の流れ肌をうねるように交えた地鉄は、地沸厚く付き、地景繁く入り、細直刃調で、刃縁沸匂い深く潤むように明るく冴え、所々二重刃風に掃き掛け、刃中金筋、砂流しが頻りに掛かるなど、無銘当麻極めの典型とも言える優品です。
昭和二十六年三月の古い登録証は、宮崎県『一三三』号、付属の外装は、江戸期の螺鈿散剣片喰紋鞘半太刀拵えで、金具類も赤銅地雲龍図等で上手に誂えており、大変雰囲気の良い作です。
地刃共に見応えのある上質な大和物、且つ良い外装の付属した物をお探しならば、これで決まりです。