太刀 (太刀銘)和泉守兼定作
(いずみのかみかねさだつくる)


Tachi:IzuminokamiKanesada



古刀・美濃 室町後期
最上作 最上大業物
第三十二回重要刀剣指定品
探山先生鞘書き有り




刃長:71.4(二尺三寸六分弱) 反り:2.9 元幅:3.01
先幅:1.91 元重ね:0.75 先重ね:0.51 穴3(内2埋)




鎬造り、鎬やや高め庵棟低め、中切っ先。 鍛え、地沸が微塵に厚く付いた小板目肌は、美しく良く整って、細かな地景が肌目に沿って現れ、元に近い付近は板目が波状に強く流れて、地鉄良好。 刃文、やや腰開き互の目乱れを主体とした焼き刃は、尖り風互の目、小互の目、頭の丸い互の目を交えて、刃縁に大粒の荒沸を付け、刃中葉、足入り、匂い口明るく締まり気味で良く冴える。 帽子、乱れ込んで先地蔵風に返る。 茎磨り上げ、先ほぼ切り、鑢鷹の羽。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨。 白鞘入り。  



【コメント】
最上作にして最上大業物、之定こと和泉守兼定の重要刀剣、陣太刀用に製作された特注の入念作、同工中出色の出来、且つ代表作と成り得る名品です。
和泉守兼定は、孫六兼元と並ぶ美濃鍛冶筆頭で、共に最上作にして最上大業物、『定』の字のウ冠の中を『之』と切ることから『ノサダ』の呼称があり、年紀作に見る作刀期間は、明応二年(一四九三)から大永六年(一五二六)までの三十三年間、天文(一五三二~五五)初年頃に没したと云います。
銘振りは、最初『濃州関住兼定作(造)』と切り、明応十年(一五〇一)頃までは、『定』の字を楷書で切ります。それ以降『之定』銘となり、永正七年(一五一〇)頃に『和泉守』を受領、以降『和泉守(藤原)兼定作』と切ります。短刀の場合、『兼定』二字銘が圧倒的に多く見られます。鑢目は刀、脇差しは鷹の羽、短刀は檜垣、茎尻は栗尻ですが、後期晩年作になると、どの寸法でも鑢目は筋違い、茎尻は尖って入山形、剣形風になります。
作風は、頭の丸い互の目、互の目丁子刃が主体で、湾れ、矢筈刃、箱刃、尖り刃が交じり、刃縁の柔らかく締まった作が多く、短刀には、来写しの直刃が多く見られます。
鍛えは、良く練られた柾目交じりの板目肌が主体で、関鍛冶にあっては、之定が群を抜いて素晴らしいとの定評があります。
彫り物は簡素な棒樋や護摩箸程度で、濃厚な意匠の彫りは皆無です。
造り込みで長大な作は僅少であり、やや寸の詰まった打刀の作が大半を占めています。
本作は磨り上げながら、寸法二尺三寸六分弱、反り高く、しなやかで美しいスタイルを示しています。探山先生鞘書きには、『陣太刀用の特別注文の作であろう。』、重要図譜にも『反り恰好、太刀銘であることからして、おそらくは特別の注文であり、太刀として製作されたものであろう。』とあります。
一番下が生ぶ穴で、二寸五分程磨り上がっているため、元来二尺六寸程の太刀であったことが分かります。前述したように、同工に於いて、これだけ長寸の作は大変珍しく、余程の注文品であったことは、想像に難くありません。
『和泉守』を冠した銘振り、鑢目等からして、永正の終わりから大永の初め頃の作と鑑せられます。同工に於いては、壮年の最良期であり、この時期に数々の名作を生み出しています。
小板目が良く詰んだ地鉄は、地沸が微塵に厚く付き、細かな地景が肌目に沿って現れ、元に近い付近は、板目が波状に強く流れています。
やや腰開きの互の目乱れを主体とした焼き刃は、尖り風互の目、小互の目、頭の丸い互の目を交え、刃縁に大粒の荒沸を付けて明るく締まり、刃中葉、足入り、帽子も地蔵風に返るなど、地刃の出来は、正に之定の典型を示しており、地刃の冴えも素晴らしいものがあります。
最上大業物に列せられる同工の斬れ味にまつわるエピソードは、枚挙に暇がありませんが、森長可(ながよし)が愛用したと伝わる十文字槍は有名です。織田信長に仕えた森武蔵守長可は、槍術に優れ、その抜きに出た武勇から、『鬼武蔵』とも呼ばれました。一般的には、森蘭丸こと森成利(なりとし)の兄に当たる人物です。その長可の愛槍が、之定の十文字槍で、初陣では二十七もの首を取ったとも伝わっており、これに驚いた信長が、『人間無骨』と切り付けたと伝わります。今も現存するこの槍には、塩(けら)首部分に『人間無骨』と刻まれています。『人間無骨』とは、その凄まじい斬れ味を評した言葉で、『人間の骨など無いも同然』の意、十文字槍でさえこの斬れ味、刀の場合、どれ程の斬れるのか考えただけでも身震いがします。
重要図譜にも『地刃に之定の見所が良く示されており、出来優れ、茎の磨り上げも苦にならない。』とありますが、正にその通り、これ程格好良い太刀造りの之定は見たことがありません。地刃の出来、冴え、品格、斬れ味など、全てに於いて、同工中の白眉と言える名作、これが室町期の美濃鍛冶最高峰、織田信長も惚れ込んだその斬れ味、家宝として受け継がれるべき不朽の名品です。






















【売約済】 商品番号:V-1917 太刀 (太刀銘)和泉守兼定作 探山先生鞘書き有り 第三十二回重要刀剣指定品

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