脇差し 国廣(堀川)
(くにひろ)


Wakizashi:Kunihiro



新刀・山城 江戸初期 最上作
第四十六回重要刀剣指定品
津軽塗り鞘合口拵え付き
(目貫に無銘徳乗として保存鑑定書付き)




刃長:45.6(一尺五寸強) 反り:1.0 元幅:3.44
先幅:3.16 元重ね:0.62 穴2




片切り刃造り、三ッ棟尋常。 表は二筋樋をはすに留め、その下樋中に毘沙門天の浮き彫り、裏は幅広の棒樋に添え樋を角留めにし、樋中長梵字を浮き彫りにする。 鍛え、板目、杢目に所々大板目肌を交えて、上半は流れ肌目立ち、地沸厚く付き、細かな地景を交え、区下より淡く水影立ち、地鉄良好。 刃文、小湾れ、小互の目、角張った互の目を主体に、刃縁荒沸付いて匂い深くやや沈み勝ちとなり、刃中上品な金筋、砂流し掛かり、細かな飛び焼き交じる。 帽子、乱れ込んで先掃き掛け返る。 茎生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢大筋違い。 銅に銀着せ金鍍金ハバキ。 最上研磨。 白鞘入り。
合口拵え(現代作 全長63.5 鞘 金張りに黒緑茶赤等の混ざりあった独特な津軽塗鞘 下げ緒、桜色 柄 出鮫柄 縁頭、角に黒塗り 目貫、金無垢地容彫、牡丹獅子図 無銘徳乗として保存刀装具鑑定書付)付き。



【コメント】
新刀最上作、堀川国広の重要刀剣、重要美術品『名物切刃貞宗』に範を取った豪壮な一振り、櫃内の浮き彫りも見事で、同工代表作となる名品です。
国廣は、享禄四年(一五三一)、日向国中西部に位置する古屋(ふるや)の地、現在の宮崎県東諸県(ひがしもろかた)郡綾町入野(あやちょういりの)古屋に生まれ、通称覚右衛門、幼名を鷹忠と言いました。当時、日向国全域に四十八の支城を構え、最盛期を迎えていた日向伊東氏に仕え、鍛刀は父国昌に学びました。しかし天正五年(一五七七)、島津の侵攻によって主家が敗北すると、それに従って豊後に逃げ延びましたが、天正十年(一五八二)頃には古屋に戻ったとされます。その後は古屋を拠点とし、山伏として各地を流浪、美濃国岐阜、相模国小田原、上野国足利などでも鍛刀しました。天正十八年(一五九〇)に『信濃守』を受領、慶長四年(一五九九)頃からは京都一条堀川に定住、郷里から同族を呼び寄せるなどして一門を形成、門下からは、末弟とされる国安を始め、出羽大掾国路、大隅掾正弘、越後守国儔、平安城弘幸、山城守国清、和泉守国貞、河内守国助等々、名だたる名工が輩出されました。
堀川一門は、同時期の京の名門、三品一門や埋忠一門と覇を競いながら、新刀期最大派閥となり、その中で棟梁たる国廣は、『堀川物』と呼ばれる一つのジャンルを確立、新刀ながら重要文化財『山姥切国廣』を始め、重要文化財十口、重要美術品九口を数える名匠です。
京堀川に定住する以前の作は、『日州古屋打ち』、『天正打ち』と呼ばれ、末相州や末関を狙った乱れ刃が多く、定住後は、『堀川打ち』、『慶長打ち』と呼ばれ、相州上工を狙った穏やかな刃調の作が多く見られます。彫り物も前期後期問わず、巧みな作がまま見られますが、短刀、脇差しに多く、不動明王、毘沙門天などの神仏像を始め、龍、大黒天、布袋、梵字、倶利伽羅の欄間透かしなども見られます。
年紀作に見る活躍期間は、天正四年(一五七六)から慶長十八年(一六一三)までの約四十年間、慶長十九年四月、八十四歳で没したと云います。
銘振りは、前期は『日州古屋住国廣作』、『九州日向住国廣作』などが多く、諸国流浪時は、銘文に『山伏之時作之』などと添え、後期は『国廣』、『藤原国廣』、『信濃守国廣』、『洛陽一条住信濃守国廣造』等々、他にも多数あります。
本作は平成十一年(一九九九)、第四十五回の重要刀剣指定品、年紀はありませんが、その銘振りからして慶長七、八年頃の作と鑑せられる『堀川(慶長)打ち』、同工円熟期の傑作です。
本作は表を切り刃、裏を平造りとした豪壮な脇差しで、元幅3.44㎝、先幅3.16㎝あります。身幅広く、寸が延び、反り浅めで大切っ先の造り込みは、典型的な慶長新刀スタイルです。同工の脇差しでは平造りが圧倒的に多く、その次に多いのが表裏どちらかが切り刃のスタイルです。
板目に杢目、所々大板目交じりの地鉄は、上半流れ肌が目立ち、細かな地景を交え、総体的に肌立ってザングリとするなど、堀川物の典型を示しています。区下より淡く水影立つのは同工の手癖です。刃区を深めに焼き込んだ焼き刃は、小湾れ、小互の目、互の目を主体に小足入る穏やかな刃取りで、表裏物打ち辺りに箱掛かった大互の目を焼き、刃縁に荒目の沸が付き、上品な金筋、砂流し掛かり、細かな飛び焼きも見られます。刃縁が総体的に沈み勝ちになりながら、締まった部分と深い部分の両方が見られる点も、同工の特徴です。
重要図譜にも記載がありますが、この造り込み、出来は、重要美術品『名物切刃貞宗』を参考にしたものと考えられています。本歌は勿論刀ですが、それを脇差しに仕立て直すあたりにも、国廣の創意工夫が窺えます。表の櫃内に毘沙門天、裏は樋内に梵字を浮き彫りにしてありますが、特に表の邪鬼を踏み付けにして、仁王立ちする毘沙門天の彫技は精巧で、何とも味わい深く見事な作です。前述したように国廣の彫り物は様々あり、火炎不動や毘沙門天の彫りはまま見受けられますが、本作のような意匠の毘沙門天はまず見ません。そう言った意味に於いても、大変貴重な彫りです。
現代作ながら、最上の津軽塗りを施した鮮やかな合口拵えも良く出来ており、目貫は金無垢の牡丹獅子、後藤徳乗(五代)で保存鑑定が付いていますので、室町後期から江戸初期の作になります。
脇差しに傑作の多い国廣ですが、本作は地刃の出来、迫力、健全さ、彫り物など全てに於いて、同工の本領が遺憾なく発揮された傑出の一振り、本作も間違いなく同工代表作として、後世まで語り継がれる名作であると確信します。





 

  

 










【売約済】商品番号:V-1926 脇差し 国廣(堀川) 第四十五回重要刀剣指定品 津軽塗り鞘合口拵え付き(目貫に無銘徳乗として保存鑑定書付き)

価格: ¥0 (税込)

返品についての詳細はこちら

お買いものガイド

月刊コレクション情報
2024年5月号
(4
/23発送)
会員の方のみご覧いただけます
月刊コレクション情報最新号の裏表紙に記載されているユーザー名とパスワードを入力して下さい。


見本誌請求(無料)はこちらから
最新情報をいち早くお届けいたします!


<ごあいさつ>

コレクション情報のホームページをご覧いただきありがとうございます!営業本部長の小牧です。お目当ての刀のお探しや、加工・製作のご相談など、なんでもお気軽にご連絡下さい!


(株)コレクション情報
〒500-8258
岐阜県岐阜市西川手7丁目89
TEL.058-274-1960
FAX.058-273-7369

カレンダー
  • 今日
  • 定休日
  • 展示会

営業時間 9:00~18:00
FAX/メールは24時間受け付けております。

会社へお越しの際はご一報ください。

ページトップへ