短刀 備中国住次吉(青江)
(びっちゅうのくにじゅうつぐよし)
延文五年八月日(一三六〇)
Tanto:Bicchunokuniju Tsuguyoshi
古刀・備中 南北朝中期
第三十一回重要刀剣指定品
薫山先生鞘書き有り

刃長:27.1(八寸九分強) 反り:0.2 元幅:2.37 元重ね:0.45 穴2


【コメント】
青江次吉の重要刀剣短刀、生ぶ在銘、鮮明な銘振り、延文年紀入り、南北朝中期に於ける同派代表鍛冶の典型作優品です。
備中国で平安末期から室町期まで大いに栄えたのが青江派で、鎌倉中期頃までの作を『古青江』、それ以降南北朝末期までの作を『青江』と大別しています。
作風は、初期は刃沸強く、刃縁やや沈み勝ちの直刃に、小乱れを交えた出来を主体としており、鎌倉末期から南北朝初期頃の刀工は、沸付きがやや穏やかになる程度、刃縁が締まって明るく冴えた匂い勝ちの直刃や、逆丁子乱れの作風が見られるようになるのは、南北朝中期になってからです。鍛えには、チリチリと杢目立った縮緬肌、黒く澄んだ肌合いの澄み鉄、段映り、地斑映り、筋映りなど、特徴ある働きもまま見られます。
本作は、青江次吉の貴重な生ぶ在銘短刀で、且つ『延文五年八月日(一三六〇)』年紀入り、昭和五十九年(一九八四)、第三十一回の重要刀剣指定品です。
次吉は、次直、守次らと並ぶ南北朝中期の青江派代表工、その作風には、直刃調と華やかな逆丁子乱れの二様がありますが、次吉には直刃調の作が多く見られます。
寸法八寸九分強、僅かに先反り付いたスタイル、小板目に小杢目、流れ肌を交えて縮緬風に細かく肌立つ地鉄は、地斑状の映り立ち、細直刃湾れ調で僅かに小互の目交じりの刃は、刃縁匂い深く明るく冴え、刃中小足、葉入り、僅かに金筋が掛かっています。
図譜には、『姿は南北朝時代を示し、縮緬肌、地斑映り、締まった直刃調の刃文、尖り風に返る帽子、大筋違いの鑢目など、次吉の特色を遺憾なく発揮している。』とあります。
朽ち込みのない鮮明な銘振りも大変貴重、同工最良期の代表作と成り得る逸品、大変魅力的な青江次吉です。



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