生ぶ太刀 清綱(二王)
(きよつな)
Tachi:Kiyotsuna
古刀・周防 鎌倉末期
第三十五回重要刀剣指定品(平成元年)(一九八九)

刃長:68.0(二尺二寸四分強) 反り:2.5 元幅:2.91
先幅:1.74 元重ね:0.67 先重ね:0.41 穴2


【コメント】
二王清綱の貴重な生ぶ在銘の重要刀剣太刀、鎌倉末期作、地刃健全、この期に於ける同派典型を示す優作です。
周防国二王派は、鎌倉後期の清綱を事実上の祖として、以降室町期に渡って栄え、門下には清久、清房らがいます。これらの作の内、南北朝期を下らぬものを二王、室町期のものを末二王と呼んでいます。
作風は、鎬の高い造り込み、柾目を交えた鍛え、小互の目の連れる刃文、ほつれ心の直刃など、地刃に大和気質が顕著ですが、大和本国に比して刃沸が弱く、刃縁が潤み勝ちとなる点、鎬は高いが鎬幅はやや狭くなる点、焼き頭から地に向けていわゆる『二王のヘラ影』と呼ばれる映りがまま見られる点が大きな特徴です。
本作は、大変稀少な二王清綱の生ぶ在銘太刀、寸法二尺二寸四分強、平成元年(一九八九)、第三十五回の重要刀剣指定品です。
板目に杢目、流れ肌を交えて総体的に良く詰んだ精良な地鉄は、白けるような映り立ち、湾れ、小互の目、小丁子交じりの刃は、所々少し逆掛かり、刃縁匂い深く明るく冴え、刃中小足、小互の目足、葉良く入り、繊細な金筋、砂流し掛かる出来です。
図譜には、『この太刀は、地刃の出来、腰反りの太刀姿と併せて勘案すれば、時代は鎌倉末期と考えられる。生ぶ茎二字在銘は、資料的にも貴重で、作風も二王派の見所が良く表示され、出来が特に良い。』とあります。
また、中央棟側には歴戦を物語る深い刀疵が今も残されていることから、姿や地刃の美しさだけではなく、耐久性も兼ね備えた地刃強靱な太刀であることも実証済みです。 銘が少し荒れていますが、鎌倉末期を下らない生ぶ在銘太刀で、この程度地刃の状態が良いものは滅多にありません。
味わい深い二王清綱、強くお薦め出来る狙い目の逸品です。





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