脇差し 藤原真景(加州真景)
(ふじわらのさねかげ)
Wakizashi:Fujiwarano Sanekage
古刀・加賀 南北朝中期
(附)刻鞘鮫着小さ刀拵
第十五回重要刀剣指定品(昭和四十二年)(一九六七)
探山先生鞘書き有り
『日本刀大鑑(古刀篇三)』及び『日本刀工辞典(古刀篇)』所載品所載品

刃長:32.8(一尺八分強) 反り:0.3 元幅:2.77 元重ね:0.50 穴3(内1埋)


【コメント】
加州真景の重要刀剣、希少な在銘品、師越中則重風を良く示した代表作、『日本刀大鑑(古刀篇三)』及び『日本刀工辞典(古刀篇)』所載品です。
加州真景は、古来より越中則重の門人と伝えられる名工、現存作を見ると、則重には正和(一三一二~一七)、元応(一三一九~二一)の年紀作があるのに対して、真景は貞治(一三六二~六八)年紀で、年代的にやや開きがあることから、則重最晩年の弟子と考えられています。作風的には、則重風を最も良く継承した刀工です。
同工の在銘品は極めて少なく、重要文化財指定品で、『賀州住真景 貞治六年月日(一三六七)』の短刀が有名ですが、これ以外には短刀、寸延びの平脇差しが二、三振りある程度、太刀は皆無です。銘は『藤原真景』、『賀州住真景』などと切ります。
本作は、大変稀少な在銘品、外装と共に昭和四十二年(一九六七)、第十五回の重要刀剣指定品、寸法一尺八分強、三つ棟、重ね薄め、僅かに先反りの付いた勇壮な姿は、南北朝期に於ける短刀、平脇差しの典型的なスタイルです。
小板目肌やや沈み勝ちに詰んだ精良な地鉄は、所々流れて細かに肌立ち、地色やや黒み勝ちでほのかに映り立ち、細直刃調の刃は、刃縁小沸付いて匂い深く、やや沈み勝ちとなり、刃中小足、葉入るなど、鉄がとにかく美しく、銘も鮮明でピシッとしています。
図譜には、『この作は、純然たる直刃で小足が入り、寸延びの平脇差し造りでやや先反りが付くなど、同工貞治六年紀のもの(重要文化財)と同作であり、稀有な有銘作としても貴重で出来が良く、付属の小さ刀拵えも製作が良い。』とあり、探山先生鞘書きには、『本作は、精良なる鍛えに静謐な細直刃を焼くなど、品良き作域を示す点が注目され、則重の正和年紀の作に繋がるものがある。健体出色で、同工研究上、不可欠也。』とあります。
加えて本作は、藤代大鑑でお馴染みの『日本刀工辞典(古刀篇)』及び『日本刀大鑑(古刀篇三)』所載品です。
則重の正式な後継者とされる加州真景の在銘品、時代の良い外装付き、これは見逃せません。






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