刀 無銘(伝来国光)
(でんらいくにみつ)
Katana:Mumei(Den Rai Kunimitsu)
古刀・山城 鎌倉末期~南北朝初期 最上作
第五十六回重要刀剣指定品(平成二十二年)(二〇一〇)

刃長:69.4(二尺二寸九分) 反り:1.6 元幅:3.12
先幅:2.23 元重ね:0.68 先重ね:0.58 穴2
【コメント】
無銘(伝来国光)の重要刀剣、輪反り風の勇壮健全なスタイル、同派筆頭鍛冶による典型作優品です。
来国光は、国俊の子と伝わり、来一門の正系を継いだ名工、年紀作に見る活躍期は、鎌倉末期の嘉暦元年(一三二六)から、南北朝中期の観応二年(一三五一)までとしています。
国宝三口、重要文化財二十四口、重要美術品二十三口を数え、その数は父国俊と並んで同派中突出しており、国宝名物『有楽来国光』を始め、『塩川来国光』、『池田来国光』等々、名物も枚挙に暇がなく、名実共に同派の最高峰鍛冶と言えます。
その活躍時期が、鎌倉末期から南北朝中期に掛けてであるため、現存品の太刀、短刀を見ても、寸法、造り込み、身幅など広狭長短様々、作風に付いても、伝統の来直刃のみならず、直刃調に小足入るのもの、小互の目、小丁子、小乱れを盛んに交えるもの、京丁子交じるもの、互の目が大模様に乱れたもの等々、多彩を極めており、大変器用な刀匠であったことが知られています。
本作は、大磨り上げ無銘ながら、『伝来国光』と極められた優品、寸法二尺二寸三分強、来派らしい輪反りやや深く付いた勇壮なスタイル、平成二十二年(二〇一〇)、第五十六回重要刀剣指定品です。
板目に杢目、流れ肌を交えて良く練られた地鉄は、地色やや黒み勝ちで、沸映りほのかに立ち、直湾れ調の刃は、刃縁美麗な小沸良く付いて匂い深く明るく冴え、刃中小互の目足、小足、葉入り、柔らかな金筋、砂流しが掛かっています。
地に来肌と呼ばれる大肌とやや弱い鉄が見られるのも同派の見所、刃縁の深みと明るさは素晴らしく、刃は元から先まで至って健全です。
来物をお好きな方には、是非お薦めしたい格調高き逸品です。




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