短刀 月山作
(がっさんさく)
Tanto:Gassan
古刀・出羽 室町末期
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:22.7(七寸五分弱) 反り:僅かに内反り 元幅:2.23 元重ね:0.75 穴1
平造り、庵棟低め。 鍛え、大板目、大杢目、波状の肌が大模様に肌立ち、白け心があり、地沸厚く付き、地鉄良好。 刃文、直刃調で小乱れ交じり、刃縁小沸付いて沈み勝ちにとなり、一部潤み、打ちのけ、二重刃、ほつれ掛かり、刃中金筋、砂流し掛かる。 帽子、直調で先小丸風に返る。 茎生ぶ、先急な刃上がり栗尻、鑢勝手下がり。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
奥州月山一派は、古くは平安後期から作があると伝わりますが、現存作を見るのは南北朝末期からで、大半は室町期の作になります。『月山』とのみ切る場合と、個銘まで切る場合があります。宗次、近則、光長、正信、俊吉、定真、寛安、軍勝などが代表工で、強烈な個性を放つ『月山綾杉鍛え』は、見紛うことなき同派最大の特徴です。
本作は寸法七寸五分弱、身幅の割に重ねの厚い室町末期の短刀スタイルで、天文前後の作と鑑せられます。
生ぶ在銘で穴一つ、稚拙ながら味のある良い銘です。
大板目、大杢目、波状の肌が大模様に肌立つ典型的な月山綾杉肌、直刃調の焼き刃は、刃縁沈み勝ちとなるなど、如何にも同派らしい出来映えです。
総体的な研ぎ減り等も少しありますが、特別保存鑑定がピシッと付いた奥州月山生ぶ在銘短刀です。