刀 備州長船祐定
(びしゅうおさふねすけさだ)
永禄十年八月日(一五六七)
Katana:Bishu Osafune Sukesada
古刀・備前 室町末期
拵え付き(特別貴重小道具認定書付き)
保存刀剣鑑定書及び特別貴重刀剣認定書付き
刃長：69.2(二尺二寸八分強) 反り：2.6 元幅：3.33
先幅：2.19 元重ね：0.79 先重ね：0.52 穴1
鎬造り、鎬高め庵棟低め、中切っ先。 表裏共に棒樋をハバキ上で丸留める。 鍛え、板目に杢目、流れ肌を交えて所々強く肌立ち、地沸厚く付き、映り立ち、地景入り、地鉄良好。 刃文、互の目丁子乱れを主体に、小互の目、尖り風の刃、小乱れを交え、刃縁匂い勝ちで総体的にやや潤み、一部明るく締まり、刃中小足、葉入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、湾れ込んで焼き深く一枚風となって僅かに返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢浅い勝手下り。 銅に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。 打ち刀拵え(幕末期 全長99 柄長24.5 鞘 茶の呂塗鞘 こじり、鉄地銀象嵌模様不明 下げ緒茶色 柄 鮫に焦げ茶柄巻 縁頭、赤銅石目地、高彫牡丹獅子図 目貫、赤銅容彫、獅子図 鍔 鉄地丸形金象嵌、矢車図)付き。
【コメント】
室町中期、応仁の乱が起こると、全国的に烈しい戦乱が相次ぎ、刀剣需要が急増、備前国ではその需要に応えるため、長船郷に日本最大級の鍛冶工房が誕生、これを主に取り仕切ったのが祐定一派です。祐定を名乗る鍛冶は、与三左衛門尉を筆頭に、古刀期だけで八十余名を数えました。
本作は寸法二尺二寸八分強、先反りやや深く、身幅重ねのしっかりとしたスタイルで、末備前鍛冶の典型的な乱れ刃を焼いた永禄祐定です。
複式の互の目丁子乱れ主体に、多種の刃を交えた焼き刃は、総体的な研ぎ減り等によって刃が少し潤み勝ちですが、表の下半には本来の冴えた良い刃が見られます。
個銘までは極め難いですが、彦兵衛尉、源兵衛尉、二代与三左衛門尉祐定辺りと同時代の祐定で、茎生ぶで穴一つ、末備前鍛冶の見所が良く示された真面目な祐定です。
付属の資料によると、以前は本阿弥光瞭(光遜の弟子)の極札(昭和十七年)も付いていたようです。外装は幕末期の作、特別貴重小道具認定書が付いています。
