薙刀 日州住大谷忠左衛門藤原光正作
(にっしゅうじゅうおおたにちゅうざえもん
ふじわらのみつまささく)
慶長拾八年八月日(一六一三)
Naginata:Nisshuju Ohtani Chuzaemon Fujiwarano Mitsumasa
新刀・日向 江戸最初期
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:51.4(一尺七寸弱) 反り:2.1 最大幅:3.14 元重ね:0.86 穴1
薙刀造り、鎬高め庵棟低い。 表裏薙刀樋と添え樋をハバキ上で留める。 鍛え、板目肌流れ心で、所々大板目、大杢目が肌立ち、地沸厚く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、湾れに互の目、小互の目、小乱れ交じりで、刃縁良く沸付いて匂い深く、刃中互の目足、葉入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、湾れ込んで沸付き、先掃き掛け返る。 茎生ぶ、先切り、鑢表逆大筋違い、裏大筋違い。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代研磨(細かな刃アタリ、小サビ有り)。 白鞘入り。
【コメント】
大谷忠左衛門光正なる刀工の名は、銘鑑等に挙がっていませんが、銘、年紀からして、江戸最初期の日向国ですので、例えば、伊東家が治めた 飫肥(おび)藩に仕えた武士で、鍛刀も行った人物かもしれません。
飫肥藩は、現在の宮崎県宮崎市及び日南市辺りを統治した藩、堀川国廣や和泉守国貞(親国)辺りと同郷で、ほぼ同時代に当たります。
大振りの太鏨で切った味のある銘は、一見して自身銘であることが分かるもので、『慶長拾八年八月日(一六一三)』の年紀は、大変貴重な資料にもなるでしょう。
寸法一尺七寸弱、身幅、重ねしっかりとした姿で、茎も生ぶで穴一つです。
焼き深く覇気のある焼き刃、所々大板目、大杢目が渦巻き状に現れた地鉄など、地刃に野趣があって面白いです。
地に鍛え肌もありますが、特別保存鑑定、銅に金着せ二重ハバキが付いて、ピシッと白鞘に入っています。
郷土刀コレクションとしても絶対に見過ごせない大珍品、これを逃すと次は無さそうです。