刀 (切付銘)弘化二年(一八四五) 兼元摺上ル之
(かねもとこれをすりあげる)
Katana:Kanemoto
古刀・美濃 室町最末期
保存刀剣鑑定書付き
刃長:76.0(二尺五寸一分弱) 反り:1.7 元幅:3.15
先幅:2.21 元重ね:0.73 先重ね:0.50 穴2
鎬造り、鎬高く庵棟低め、中切っ先。 表裏共に棒樋をハバキ下で丸留める。 鍛え、板目に杢目を交えて流れ心に肌立ち、地沸厚く付き、白け心があり、地景入り、地鉄良好。 刃文、尖り風の刃、矢筈風の刃、角張った刃を交えた三つずつ互の目乱れが腰開きに連なり、刃縁良く沸付いて明るく締まり気味となり、刃中金筋、砂流し烈しく掛かる。 帽子、湾れ込んで沸付き、先掃き掛け返る。 茎大磨り上げ、先切り、鑢浅い勝手下がり。 銅に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
本作は、大磨り上げ無銘ながら、寸法二尺五寸一分弱の長尺刀、鑑定書には、『(切付銘)弘化二年 兼元摺上ル之(時代室町最末期)』とあります。
これは、元来『兼元』と銘があったものを、弘化二年(一八四五)に磨り上げたの意。
生ぶ樋の位置からして、一番下が生ぶ穴で三寸程磨り上がっていますので、元来は二尺八寸を優に超えていたことが分かります。
永禄(一五五八~七〇)~元亀(一五七〇~七三)頃の孫六兼元(後代)による作と鑑せられます。 尖り風の小互の目乱れが、所々三本杉風となり、刃縁匂い勝ちに明るく締まるなど、孫六兼元一派の伝統を墨守した典型的な出来映えです。
地刃に細かな鍛え肌等もありますが、刀は新刀の如く健全、樋が入っていますが、しっかりとした重量感があります。
室町最末期を下らない良質な美濃関物として間違いのない佳品です。