短刀 竜義
平成二年春(一九九〇)
(たつよし)
Tanto:Tatsuyoshi
現代・静岡
刃長:20.0(六寸六分) 反り:なし 元幅:2.12 元重ね:0.48 穴1
平造り、庵棟低い。 鍛え、小板目詰み、刃寄り流れて肌立ち、地沸厚く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、湾れに互の目、小互の目交じり、刃縁荒沸付いて 湯走り、一部沸裂け状 帽子、湾れ調で沸付き、先尖り心に強く掃き掛け返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢化粧大筋違い。 銅に金着せハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
竜義は、榎本栄一郎と言い、昭和二十六年生まれ、無鑑査湧水心貞吉の子で、初め貞義、後に竜義へ改銘、弟に貞人がいます。父と同じ静岡県三島市大宮町菰池近くの工房で鍛刀、父同様、相州伝を得意とした名工でしたが、数年前に亡くなっています。本作は、左文字写し短刀、同工三十九歳の頃の作、小振りながら、地刃良く沸付いた覇気のある出来映えです。