刀 関藤原吉国
(せきふじわらのよしくに)
Katana:Seki Fujiwarano Yoshikuni
新刀・美濃 江戸前期 拵え入り

刃長:82.3(二尺七寸二分弱) 反り:1.5 元幅:2.98
先幅:1.85 元重ね:0.80 先重ね:0.46 穴2
鎬造り、鎬高め庵棟低め、中切っ先やや詰まる。 鍛え、小板目に板目を交えてやや沈み勝ちとなり、地沸厚く付き、地景入り、地鉄良好。 刃文、直調の焼き出しから互の目乱れ主体に焼き、小互の目、湾れ、丁子風の刃交じり、刃縁荒沸付いて匂い深く、細かな飛び焼き、湯走り掛かり、刃中互の目足、葉良く入る。 帽子、湾れ込んで焼き深く、先僅かに掃き掛け返る。 茎磨り上げ、先切り、鑢大筋違い。 銅ハバキ。 時代研磨。
半太刀拵え(幕末期 全長116 柄長30.2 鞘 茶と金の艶石目地 石突、責金、赤銅魚子地金色絵 足金物、太鼓金等の部分は革 太刀巻下げ緒、茶の木綿 柄 鮫に黒柄巻き 縁、兜金はこじり等と同作目貫、鉄地引両桐紋図 鍔 鉄地丸形鋤下彫、菊に下がり藤紋図)入り。
【コメント】
吉国は、関七流善定派出身で、延宝(一六七三~八一)~元禄(一六八八~一七〇四)頃の鍛冶です。
善定派と言えば、兼房、氏房系統を輩出した名門で、この系統の作は、今も割と残っていますが、本工はまず現存作を見ません。銘は、『関善定光明寺吉国』」、『関前城藤原吉国』などとも切ります。
本作は、下が生ぶ穴で一寸程磨り上がっていますが、寸法二尺七寸二分弱の伸びやかな長寸刀、太鏨で大振りな銘は、やや雑な感じですが問題ないでしょう。 直調の焼き出しに始まる互の目乱れ主体の刃は、刃縁細かな飛び焼き、湯走り掛かり、刃中も良く働いています。
地に少し鍛え肌もありますが、地刃健全、幕末期の半太刀拵え入り、本誌初掲載の関善定吉国、中々の珍品です。




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