短刀(保昌短刀写し) くにひら(河内国平)
応刻舟需 無玄関(刻印)
白梅咲く 平成十五年吉日(二〇〇三)
Tanto:Kunihira
現代・奈良
無鑑査

刃長:26.0(八寸六分弱) 反り:なし 元幅:2.33 元重ね:0.68 穴1
平造り、三つ棟低い。 鍛え、柾目波状に強く流れて上品に肌立ち、地沸厚く付き、地景入り、一部湯走り掛かり、地鉄良好。 刃文、直湾れ調で、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、ほつれ、二重刃、喰違刃掛かり、刃中金筋、砂流し烈しく掛かる。 帽子、直調で沸付き、先烈しく掃き掛け僅かに返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
国平は、河内道雄と言い、昭和十六年、第十四代河内守国助の次男として、大阪生駒市に生まれました。同四十一年に人間国宝宮入昭平に入門し、相州伝を学びました。同四十七年に独立、奈良県吉野郡東吉野村平野に自身の鍛刀場、『無玄関』を設立、同五十年に佐藤栄作名誉会長賞を受賞して以降、高松宮賞や薫山賞など数々の特賞を複数回受賞、同五十九年には人間国宝隅谷正峯に入門し、備前伝を学びました。同六十二年、無鑑査認定。以降三十年以上、毎年無鑑査出品を続け、平成十七年には奈良県無形文化財認定、同二十六年、刀剣界最高賞である『正宗賞』を受賞しました。これは『該当なし』が続いた太刀部門に於いて、十八年振りの快挙、平成九年以来の人間国宝最右翼と言われる名工の一人です。
本作は、平成十五年(二〇〇三)、同工六十二歳の頃の注文打ち入念作、烈しく柾目流れる保昌写し短刀です。
寸法八寸六分弱、三つ棟の造り込み、先に行く程焼き幅を広く取り、刃縁荒沸状の湯走り、刃中幾重にも重なる金筋、砂流しが烈しく掛かるなど、本歌の作域が忠実に再現された魅力的な一振り、銅に金着せ二重ハバキがピシッと付いています。
茎に刻まれた『無玄関』とは、前述した自身の鍛刀場の名称で、『私と他の人との間に壁は無く、どこからでもお入り下さい。』との意味が込められているそうです。
今最も人間国宝に近い刀匠河内国平、同工古作保昌短刀写しの代表作と成り得る逸品です。
