小刀 (刀身銘)洗心 昭次(花押)(天田昭次)
(平成十七年作)(二〇〇五)
(あきつぐ)
Kogatana:Akitsugu
現代・新潟
人間国宝
自筆箱書き有り

刃長:13.6(四寸五分弱) 反り:なし 元幅:1.23 元重ね:0.23 穴なし
平造り。 鍛え、小板目やや沈み勝ちに詰み、地沸付き、地鉄良好。 刃文、互の目乱れに小互の目、湾れ調交じりで、刃縁小沸付いて匂い深く明るく冴え、刃中互の目足入る。 帽子、直調で、先小丸に返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢大筋違い。 白鞘共木ハバキ。 時代研磨。 白鞘入り(朱塗り鞘で頭、鯉口部分金泥塗り)。 ※長さ15㎝未満の刀子や小刀類は、ペーパーナイフやハサミ類と同様に道具と見なされますので、通常登録証は不要です。但し、茎に目釘穴を開けた場合は、登録が必要となる場合があります。また目釘穴がなくても、日刀保の鑑定に出す場合は、登録証が必要となります。
【コメント】
天田昭次は、昭和二年、現在の新潟県新発田市本田に生まれ、同十五年には上京し、日本刀鍛錬伝習所にて、栗原彦三郎の門人となります。三十三歳の頃に大病を患い、八年の休業を余儀なくされましたが、不撓不屈の精神で復活した昭次は、昭和四十七年には無鑑査、同五十二年、六十年、平成八年に、刀剣界の最高賞である『正宗賞』を三度受賞しました。これは隅谷正峯、大隅俊平に次いで三例目ですが、山城伝、相州伝、備前伝と、全て異なる作風で受賞したのは昭次のみです。平成九年には人間国宝となり、同二十五年、八十五歳にて没。
本作には年紀がありませんが、自筆箱書きに、『平成十七年仲秋吉日(二〇〇五)』 とあるため、同工七十七歳の作となります。
小板目沈み勝ち詰んだ綺麗な地鉄、互の目乱れに小互の目、湾れ調交じりの刃は、 刃縁小沸付いて匂い深く明るく冴え、刃中互の目足入るなど、五寸足らずの寸法ですが、同工の類い希なる技量が全て詰め込まれています。研ぎも良いです。
『洗心』とは、『心を洗い清めること』であり、『初心に返る』の意。ただ刀身に刻まれていることからして、武士道的には、『雑念や迷いを捨て、無心であること』など、様々な解釈があるかと思います。
人間国宝認定後の貴重な作、今は亡き名工による小さな名刀、朱塗り白鞘にピシッと入っており、自筆箱書きに収めてあります。

