刀　出羽守行廣(無銘)
(でわのかみゆきひろ)

Katana:Dewanokami Yukihiro(Mumei)

新刀・肥前　江戸前期　拵え付き
保存刀剣鑑定書付き

刃長：65.8(二尺一寸七分強)　反り：1.9　元幅：2.96
先幅：2.09　元重ね：0.69　先重ね：0.50　穴4

鎬造り、鎬高く庵棟低め、中切っ先。　表裏共に刀樋を掻き通す。　鍛え、小板目に小杢目を交えて良く詰み、地色明るく、地沸微塵に厚く付き、細かな地景繁く入り、飛び焼き風の湯走り掛かり、地鉄精良。　刃文、互の目に箱掛かった刃、丁子風の刃、小互の目、湾れを交え、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、刃中互の目足入り、繊細な金筋、砂流し掛かる。　帽子、直調で沸え付き、先小丸に返る。　茎大磨り上げ、先浅い栗尻、鑢大筋違い。　銀ハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。
打ち刀拵え(江戸後期　全長98　柄長22.5　鞘　黒石目鞘　返り角有　こじり、四分一石目地無文　下げ緒黒　柄　親鮫に黒蛇腹柄巻　縁頭肥後、赤銅鋤出彫点象嵌、波濤図　目貫、銀地容彫色絵、波に籠の図鍔　鉄地竪丸形透、波に雁繋図)付き。

【コメント】
本作は、大磨り上げ無銘ながら、『出羽守行廣』と極められた華やかな肥前乱れ刃の優品です。
行廣は、初代忠吉の孫、初代河内大掾正廣の弟に当たり、始め『出羽大掾』受領、後に『出羽守』を転じ、天和二年、六十六歳没。長崎に赴いて南蛮鉄を使用した阿蘭陀(オランダ)鍛えを学びました。
活躍期は、正保から延宝頃まで、古作一文字に範を取った華やかな互の目丁子乱れは、『肥前一文字』と称され、伝統の肥前直刃も焼きますが、乱れ刃の作が多く残されています。
本作は寸法二尺一寸七分強、均整の取れた美しいスタイルで、精良な肥前小糠肌に、覇気溢れる焼き刃を焼き、地刃共に明るく冴え渡っています。欠点は無銘であることでしょうか。
豪壮な刀ではありませんが、出来の良い肥前刀乱れ刃をお探しならば、絶対にこれです。