刀 常州水戸住坂東太郎鏌正入道卜伝
(じょうしゅうみとじゅうばんどうたろうばくせいにゅうどうぼくでん)
延宝八年二月日(一六八〇年)
Katana:Jousyu Mitoju Bandou Taro Bakuseinyudou Bokuden
新刀・水戸
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:66.4(二尺一寸九分強) 反り:2.0 元幅:3.18
先幅:2.06 元重ね:0.70 先重ね:0.47 穴2


【コメント】
卜伝は、川村長兵衛と言い、美濃関の出身で、関七流善定派の兼門一門の刀工と云われており、善定兼吉十四代孫とも称します。初銘を武蔵守吉門と銘じ、兄に越前守吉門がいます。
正保の初め頃、兄と共に江戸へ出たとされており、寛文十二年、兄と共に水戸藩工に任じられました。延宝三~四年に掛けては、天才外科医でありながら同じく水戸藩工も務めた大村加卜の門人として学び、延宝五年、水戸藩二代藩主水戸光圀より『坂東太郎鏌正入道卜伝』の名を賜りました。卜伝の名は、『加卜の鍛刀法を後世に伝える』の意であると云われています。貞享五年(一六八八年)没。
作風は、大互の目乱れ、互の目丁子、湾れ乱れを主体とし、沸匂い深く締まった明るい刃を焼き、中には荒沸付いて沸崩れるものもあります。
銘振りは、『濃州関善定家武蔵守吉門』、『常州水戸住坂東太郎鏌正入道卜伝』などと切り、年紀作はまず見ません。
本作は希少な卜伝銘の水戸打ち、寸法二尺一寸九分強、反り深めに付いてカチッとした健全な一振り、僅かに磨り上げながら、『延宝八年二月日』の年紀はかなり貴重です。
板目沈み勝ちに良く詰み、細かな流れ肌が上品に肌立つ地鉄は、繊細な地景を配し、互の目丁子乱れを主体とした焼き刃は、小互の目、尖り風の刃を交えて刃縁匂い深く明るく締まるなど、出来は如何にも典型です。
卜伝銘の作でさえ中々お目に掛かりませんが、年紀まであるものは初見、勿論本誌初掲載、特別保存鑑定も付属しています。
かの有名な水戸黄門様のお抱え鍛冶、坂東太郎卜伝の典型作優品、これを見逃す手はありません。





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