刀 (太刀銘)一肥前国出羽守行廣(初代)
(いちひぜんのくにでわのかみゆきひろ)
以阿蘭陀鍛作之(おらんだぎたえをもってこれをつくる)
寛文十三年癸丑二月吉日(一六七三)
主豊前小倉住原軍左衛門尉源吉勝為宝代
Katana:Ichi Hizennokuni Dewanokami Yukihiro
新刀・肥前 江戸前期
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:70.0(二尺三寸一分) 反り:2.4 元幅:3.08
先幅:1.96 元重ね:0.72 先重ね:0.44 穴1


【コメント】
初代行廣は、元和三年生まれ、初代忠吉の孫、初代河内大掾正廣の弟に当たり、正保五年に『出羽大掾』受領、慶安三年には長崎に赴いて阿蘭陀(オランダ)鍛えを学びました。阿蘭陀鍛えとは、十七世紀になって日本に輸入されるようになった南蛮鉄を使用した鍛錬法のことで、以後茎には『以阿蘭陀鍛作』などと添えています。寛文三年に『出羽守』を受領、天和二年、六十六歳没。
活躍期は正保から延宝頃までですが、年紀作は僅少、古作一文字に範を取った華やかな丁子乱れは、『肥前一文字』と称され、茎には『一』を添えた銘もあります。伝統の肥前直刃も焼きますが、乱れ刃の作が多く残されています。
本作は寛文十三年、同工五十七歳の頃の作、寸法二尺三寸一分、反り深く、しなやかで上品な太刀姿を示しています。
地刃は至って健全、寛文期にこのスタイルですので、注文打ちの入念作です。
茎にあるように、注文主は『豊前小倉原軍左衛門尉源吉勝』、『為宝代』とありますので、代々同家の家宝並びに守護刀として受け継がれてきたものかと思います。
焼き刃は互の目乱れ調の刃取りで、刃中互の目丁子乱れ、小互の目、尖り心の刃を交えてやや腰開き気味となり、刃縁良く沸付いて匂い深く、刃中所々金筋、砂流しが烈しく掛かっています。
一ヶ所地に緩みがありますが、茎に『以阿蘭陀鍛作』とあるように、同工の真骨頂である南蛮鉄鍛えの佳品、『一』、年紀、所持者名、『以阿蘭陀鍛作』の添え銘が入った銘振りは大変貴重、初代出羽守行廣格調高い一振りです。





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