刀 和泉守兼重
(いずみのかみかねしげ)
Katana:Izuminokami Kaneshige
新刀・武蔵 江戸前期 良業物 拵え入り
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:66.5(二尺一寸九分強) 反り:1.8 元幅:3.07
先幅:2.00 元重ね:0.72 先重ね:0.57 穴2

打ち刀拵え(全長101 柄長24 鞘 艶消し黒鞘に一分刻み模様を七箇所入れる 下げ緒、黒と卯の花色 柄 鮫に紫柄巻 縁頭、赤銅石目地高彫色絵、楼閣山水図 目貫、赤銅容彫色絵、波に葵花図 鍔 鉄地丸形地透、梅花図)入り。

【コメント】
新刀期の江戸鍛冶で、初代越前康継、野田繁慶に次いで現れたのが和泉守兼重であり、元は越前の矢の根(やじり)鍛冶であったと伝えられています。後に藤堂和泉守高虎の抱え工となり、初め和泉大掾、後に和泉守を受領、二代が上総介兼重です。
截断銘入りの作もまま見受けるように、業物鍛冶としても名高く、その鋭い斬れ味は多くの武人を魅了、かの有名な剣豪宮本武蔵の愛刀であったとも伝わっています。
生年没年は不明、年紀作もほとんど見られませんが、年紀の上限は寛永二年(一六二五)で、万治(一六五八~六一)初年頃まで鍛刀したと伝えています。
作風は、湾れ調に互の目が連れて刃中足が繁く入るもの、直刃調に浅く湾れを交えて刃縁が明るく冴えたものの二つに大別されます。
銘は『武州江戸住兼重』、『和泉大掾藤原兼重』、『和泉守兼重』、『和泉守藤原兼重』などと切り、字体は寛永中頃から独特の隷書風となり、晩年の正保頃には更に細鏨になります。
本作は寸法二尺一寸九分強、下が生ぶ穴で三寸程磨り上がっていますが、特別保存がピシッと付いていますので状態等は上々です。
年紀はありませんが、銘振りより寛永末年頃の作と鑑せられます。
切っ先やや詰まり気味、元先身幅の差が付いた姿は、寛文新刀と同様ですが、先反り深めに付いた点が異なります。これは寛永期にまま見られるスタイルで、寛永新刀とも呼ばれます。同時期、大坂の和泉守国貞等にも同様のスタイルが見られます。
湾れ調の刃文は、刃縁の沸匂い深く明るく冴え、刃中繊細な金筋、砂流し掛かるなど、決して豪壮な刀ではありませんが、同工の一作風が良く示された佳品で、刃縁の深みと変化は大変見応えがあります。
剣豪宮本武蔵が愛して止まなかった和泉守兼重の一振り、二代に比して、初代の作は中々出て来ませんので貴重です。



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