刀 (太刀銘)於頭山満翁邸内繁継作
(刻印・トキワ)(笠間一貫斎繁継)
(とうやまみつるおうていないにおいてしげつぐつくる)
昭和十二年十一月日(一九三七)
Katana:Toyama Mitsuru Outeinai Shigetsugu
現代・東京
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:70.0(二尺三寸一分) 反り:1.7 元幅:3.32
先幅:2.22 元重ね:0.73 先重ね:0.51 穴1


【コメント】
繁継は笠間義一と言い、明治十九年、静岡生まれ、伯父宮口一貫斎繁寿、森岡正吉に鍛刀を学びました。後に東京へ出て栗原彦三郎昭秀主催の日本刀鍛錬所の師範を務め、多くの門人を指導、昭和十年、東京渋谷の頭山満邸内に設けられた常盤松(ときわまつ)刀剣研究所の主任刀匠となりました。その後も宮内省御刀係を拝命するなど、月山貞勝や堀井俊秀らとその後の現代刀剣界の礎を築いた刀匠であり、元帥刀作者としても有名です。当時元帥刀製作の御命賜ったのは、月山貞勝、森岡正吉、笠間一貫斎繁継、堀井秀明(俊秀)の四名のみです。昭和四十年、七十九歳にて没。
作風は、備前伝、相伝備前の乱れ刃、大和伝の直刃があり、彫り物は月山一門に勝るとも劣らず、現代刀匠随一と言われるほどの名人です。
また笠間門下には、宮口寿廣、酒井繁政、塚本起正、竹花繁久等々がおり、皆一様に『一貫斎』を号し、彫りも上手いです。
本作は昭和十二年、同工五十一歳の頃の作、寸法二尺三寸一分、備前伝逆丁子を焼いた典型作で、茎銘文、刻印にもあるように、前述した頭山満(とうやまみつる)邸内にて鍛刀された一振りです。
頭山満は、明治から昭和前期に掛けて活動した国家主義運動家で、欧米列強の脅威の排除、アジア各国の独立支援など、いわゆるアジア主義者の指導者です。またこれらの活動を推し進めていた『玄洋社』総帥でもあり、鉱山経営など実業家としても名高い人物です。
ちなみに同年六月、同邸内にて鍛刀された刀の一振りが、ドイツのヒトラー総統へ贈呈されたのは有名な話。茎に『独逸国総統ヒットラー閣下献進之』と刻まれています。
数少ない『元帥刀』作者としても名高い名工、笠間一貫斎繁継による備前伝逆丁子乱れの典型作、寸法充分で特別保存鑑定もピシッと付いています。
昭和初期、欧米列強の脅威に立ち向かっていた頃の勇ましい日本を象徴する一振りです。




お買いものガイド
