刀 坂倉言之進照包
(さかくらごんのしんてるかね)
延宝九年二月日(一六八一)
Katana:Sakakura Gonnoshin Terukane
新刀・摂津 江戸前期 大業物 拵え付き
保存刀剣鑑定書付き

刃長:69.6(二尺三寸弱) 反り:1.3 元幅:3.21
先幅:2.08 元重ね:0.66 先重ね:0.44 穴1

上打ち刀拵え(現代作 全長98 柄長22.5 鞘 黒の呂塗 下げ緒生成色 柄 親鮫に生成色蛇腹、平巻 縁、銘後藤一乗花押 黒槌目地、鋤下彫、梅花図 頭角 目貫、金無垢地容彫、水仙の図 鍔 銘高橋正次花押 赤銅花魚子地、鋤下彫、鉄仙花図 銀に金着せ切羽)付き。

【コメント】
二代包貞は、坂倉言之進と言い、元は美濃丹波守照門一族出身であったと伝わっており、後に大坂へ出て、初代包貞こと山田平太夫の弟子となり、後に養子となります。初代は左陸奥包保系門人の文珠鍛冶に当たります。初代没後の寛文五年(一六六五)頃から二代包貞を襲名、延宝七年(一六七九)八月、初代の実子である山田岩松が成人を迎えると共に包貞銘を返上、自らは本名である坂倉言之進に戻し、照包と銘じました。
作風は、基本小板目の詰んだ綺麗な大坂新刀地鉄に、津田越前守助廣に範を取った濤瀾風の大互の目乱れを得意としますが、刃中矢筈風の刃や片山乱れと称される同工特有の刃形が交じる点、物打ち付近に互の目を連れて焼く点、棟の角度が急で平肉のそれ程付かない点などが同工の手癖としてまま見られます。直刃、湾れ刃もありますが、いずれも刃縁の沸匂いが一際深く明るい刃となるのが特徴です。
年紀作に見る活躍期は、寛文五年から貞享元年(一六八四)ですが、前述のように延宝七年頃までが包貞銘ですので、その大半は包貞銘であり、銘は『越後守包貞』、『坂倉言之進照包』、『坂倉越後守照包』などと切ります。
本作は『坂倉言之進照包』銘で延宝九年の年紀入り作、寸法二尺三寸弱、反りやや浅めに付いた地刃健全な佳品です。
小板目に板目、杢目を交えて良く詰んだ精良な地鉄は、地沸微塵に厚く付き、細やかな地景がうねるように繁く入り、直刃調の刃文は、刃縁小沸良く付いて匂い深く明るく冴え、刃中所々繊細な金筋、砂流し掛かる出来です。 梨子地の如く綺麗な鉄、刃縁の沸匂いの層の厚み、直調で先僅かに掃き掛け小丸に返った帽子等々、肥前忠吉系の出来良い直刃を思い浮かべて頂ければ良いかと思います。
金着せ二重ハバキ付き、外装も目貫が金無垢、他の金具類も上手にまとめています。地刃に鍛え肌が僅かにありますが、他が良く出来ていますので、特別保存鑑定は付くと思います。
二代越後守包貞こと坂倉言之進照包による直刃の名品です。





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