大脇差し 奉祝 源盛吉
(みなもとのもりよし)
平成二年十一月十二日(一九九〇)
Ohwakizashi:Minamotono Moriyoshi
現代・熊本
無鑑査刀匠

刃長:59.7(一尺九寸七分) 反り:1.0 元幅:3.55 元重ね:0.85 穴1


【コメント】
盛吉は谷川松吉と言い、大正九年(一九二〇)生まれ、熊本県八代市の出身で、同郷の名工、第二十五代金剛兵衛源盛高こと盛高靖博門人です。師より『盛』の字を賜りました。昭和二十九年に第一回作刀技術発表会で初入選以降、新作名刀展でも入選多数、昭和五十年代には、『源清麿写し』の名人としても名を馳せ、昭和六十年には無鑑査刀匠となります。平成二年に七十歳で没。
本作は同工が亡くなった平成二年十一月の作、おそらく最後の作ではないでしょうか。茎に『奉祝(ほうしゅく=謹んでお祝いするの意)』と刻まれていることからも分かるように、余程特別な祝い事による特注の入念作です。
寸法一尺九寸七分、身幅、重ねもガシンとした豪壮無比な一振り、南北朝盛期の相伝備前鍛冶に範を取ったと鑑せられる平作り打刀スタイルは、現在の寸法基準からすれば大脇差しになります。
平作り打刀と言えば、古くは鎌倉中期の粟田口国吉、重要文化財指定の名物『鳴狐(一尺七寸八分強)』、備前長船兼光の重要美術品で上杉家旧蔵の名物『水神斬り(二尺三寸)』、兼光には同じく重要美術品で一尺七寸六分弱の作もあります。その他、近景、盛景、義景、小反り、吉井一派等、南北朝期の備前系統に若干見られます。
互の目乱れを主体に小互の目、大互の目を交えた焼き刃は、刃縁荒沸付いて締まり気味、刃中互の目足入り、金筋、砂流し烈しく掛かるなど、覇気溢れる出来映えで、地に少し鍛え肌もありますが、この豪快なスタイルと相俟って迫力満点です。
現代肥後鍛冶筆頭、無鑑査谷川盛吉による、正に集大成と言える相伝備前の自信作です。




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