刀　越前守(以下折返)助廣
(えちぜんのかみすけひろ)

Katana:Echizennokami Sukehiro

新刀・摂津　江戸前期　最上作　大業物
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り

刃長：69.7(二尺三寸)　反り：1.3　元幅：3.15
先幅：2.24　元重ね：0.74　先重ね：0.52　穴3

鎬造り、鎬高く庵棟低め、中切っ先やや詰まる。　鍛え、小板目に小杢目を交えて細かに肌立ち、地沸厚く付き、地色やや黒み勝ち、地鉄良好。　刃文、互の目丁子乱れ主体で、一定の間隔で腰開きとなり、刃縁良く沸付いて明るく締まり気味となり、地に細かな飛び焼き掛かり、刃中葉、小足入る。　帽子、焼き深く一枚となり、返り長く鎬地棟寄りを断続的に焼き下げる。　茎磨り上げて折返銘、先切り、鑢大筋違い。　銅に金着せハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。　

【コメント】
二代助廣は、寛永十四年、摂津打出村（現兵庫県芦屋市）に生まれ、大坂に出て初代助廣の門人となり、後に養子となって二代助廣を襲名、寛文七年、大坂城代青山因幡守宗俊の抱え鍛冶となりました。言わずと知れた濤瀾刃の創始者であり、井上真改と双璧を成す大坂新刀鍛冶の最高峰です。
作刀期間は、承応二年から天和二年までの三十年余り、銘の変遷としては、最初は基本『越前守助廣』銘、寛文七年二月からは、『津田越前守助廣』銘、いわゆる『角津田』銘となり、延宝二年二月から天和二年正月までは『丸津田』銘となり、同年三月、四十六歳で急逝。
本作に年紀はありませんが、銘振り、鑑定書にも『年代明暦(一六五五～五八)頃』とあることから、同工最初期、二十歳頃の作に当たります。
新刀では珍しいですが、磨り上げの際に折返銘となっています。スタイルは典型的な寛文新刀、寸法は二尺三寸あります。
刃縁良く沸付いた互の目丁子乱れを一定の間隔で複式に焼いており、探山先生鞘書きにも、『複式風の乱れを示す点が興味深く、その作域を知る上で好資料と言うべし。』とあるように、末備前鍛冶の乱れ刃を思わせるような出来です。
磨り上げが残念ですが、地刃健全、刀がズシッと重く、助廣の場合、刀より脇差しにガッシリした作が多いですが、本作は大変迫力があって良いです。
新刀最上作大業物、二代助廣の最初期作、大変魅力的な一振りです。