刀　心慶胤光造
(しんけいたねみつつくる)
元治元年八月日(一八六四)

Katana:Shinkei Tanemitsu

新々刀・常陸　江戸最末期
拵え付き(鐔に保存刀装具鑑定書付き)
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長：73.0(二尺四寸一分弱)　反り：1.5　元幅：3.19
先幅：2.16　元重ね：0.76　先重ね：0.55　穴1

鎬造り、鎬尋常庵棟低い、中切っ先。　鍛え、小板目肌やや沈み勝ちとなり、所々流れて肌立ち、地沸付き、地鉄良好。　刃文、直湾れ調で節心の刃を交え、刃縁匂い勝ちに小沸付いて締まり気味となり、刃中小足、葉良く入る。　帽子、湾れ込んで小丸風に返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢化粧大筋違い。　銅に銀着せハバキ。　時代研磨(ヒケ、ハバキ下にサビ有り)。　白鞘入り。
打ち刀拵え(幕末期　全長107　柄長27　鞘　黒地に僅かに螺鈿散し、牡丹花模様変わり鞘　こじり、四分一研磨地無文　栗型　金しとどめ有、鯉口は黒塗　下げ緒茶　柄　鮫に茶柄巻　縁頭、赤銅研磨地無文　目貫、赤銅容彫色絵、松の図　鍔　鉄地丸形地透、車に菊透図)付き。

【コメント】
胤光は、長尾栄吉と言い、天保三年、常陸国土浦の生まれ、土浦藩土屋家に仕えた藩士でありながら、大慶直胤に鍛刀を学びました。心慶と号し、後に江戸に住しています。活躍期は、安政から明治初年頃まで、作風は、師の備前伝を良く継承した華やかな乱れ刃、穏やかな直刃調の作があり、稀に本庄義胤風の濃厚な彫り物も見ます。本作は、寸法二尺四寸一分弱、しっかりとした勇壮なスタイル、直湾れ調の穏やかな刃文は、僅かに節心の刃を交え、刃縁小足、葉が頻りに入って良く働いており、大きな疵なく、真面目な幕末刀です。これまで無銘で『心慶胤光』極めの作はありましたが、同工の刀で在銘正真年紀入り、特別保存鑑定がピシッと付いた作は初掲載です。幕末期の外装付きで、菊花透かしのお洒落な鐔は、京透かしで鑑定書付きです。