刀 龍門(無銘)
(りゅうもん)
Katana:Ryumon(Mumei)
古刀・大和 鎌倉末期
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り
刃長:68.5(二尺二寸六分) 反り:1.4 元幅:2.80
先幅:2.03 元重ね:0.68 先重ね:0.53 穴2
【コメント】
龍門一派は、大和千手院の流れを汲む刀工集団で、鎌倉末期の正応(一二八八~九二)頃、千手院の鍛刀地である奈良若草山から南へ数十キロメートル下った、現在の奈良県吉野郡吉野町付近で鍛刀したと云い、代表工には延吉がいます。この地にはかつて龍門寺がありましたので、おそらくこの寺に従属したものと考えられます。
同工の作風は、直刃調でほつれ交じり、地映りの目立たない大和物然とした出来と、賑やかな乱れ刃若しくは直刃調に丁子足入りで、地映りの目立つ備前風の出来の二様に大別されます。
本作は、大磨り上げ無銘ながら『龍門』と極められた一振り、寸法二尺二寸六分、反りやや浅めに付いたしなやかな姿で示しています。
探山先生鞘書きには、『板目刃寄り流れる肌合いに、直刃ほつれの刃文を焼き、つぶらな沸が付き、刃縁に打ちのけ、二重刃、湯走り掛かり、帽子は掃き掛けて焼き詰めるなど、大和気質が濃厚に表示され、その中でも、閑雅(かんが=風流でしとやかなこと。上品。)な趣なる点を踏まえれば、龍門一類と捉えられる優品也。』とあります。
鎌倉末期を下らない作ながら、大きな欠点なく、刃も元から先まで健やか、上品な大和物をお好きな方にお薦めする龍門一派の典型作です。