刀 於都五条辺信濃国宗継造之
(宮川宗継)(山浦真雄高弟)
(みやこごじょうあたりにおいてしなののくにむねつぐこれをつくる)
慶応三年八月日(一八六七)
Katana:Niyakogojo Shinanonokuni Munetsugu
新々刀・信濃(山城) 江戸最末期
特別保存刀剣鑑定書付き
『刀工山浦真雄 清麿 兼乕伝』所載品
刃長:72.7(二尺四寸弱) 反り:1.3 元幅:3.37
先幅:2.48 元重ね:0.73 先重ね:0.59 穴1
【コメント】
宗継は、宮川宗次と言い、源清麿の兄山浦真雄門人、嫡子兼乕に次ぐ実力者で、信濃国松代藩真田家のお抱え鍛冶です。
作刀期間は、文久から明治初年頃まで、慶応二、三年頃、真雄の計らいにより京へ上り、日本鍛冶惣匠伊賀守金道より、筑前守を受領しています。この時に京でも鍛刀しており、『於都五条辺信濃国宗継造之』、『於洛陽三条辺松代臣宗継造之』と銘のある作も残されています。
銘は、師同様流暢な草書体で、初期は『信濃国宗次』、受領後は、『宮川筑前守源宗継』などと切っています。
本作は、前述した京打ちの稀少な現存作、花岡忠男著『刀工山浦真雄 清麿 兼乕伝』には、その貴重な銘振りと共に同工代表作として掲載されています。出来は、銘を見なければ、真雄の一作風を見るようです。
地の緩み、刃に少し鍛え肌もありますが、地刃は健全です。
山浦兄弟を評して『絢爛華麗の清麿、質実剛健の真雄』と言われますが、 師真雄は、自ら剣術家の立場から刀の強度、斬れ味を最大限まで高める 刀造りに心血を注いでおり、堅物斬りに於いて当時最強と呼ばれました。その向槌も務め、師の技術を会得した宗継の刀が斬れないわけがありません。
その銘振りも貴重な宮川宗継、山浦一門コレクター垂涎の逸品です。