脇差し 守家(畠田)(と金象嵌銘がある)
(もりいえ)
Wakizashi:Moriie
古刀・備前 鎌倉末期
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長:48.8(一尺六寸一分強) 反り:0.7 元幅:2.80
先幅:1.87 元重ね:0.58 先重ね:0.40 穴3
【コメント】
備前畠田一派は、長船村に隣接した畠田の地、現在の岡山県備前市畠田に住して鍛刀した鍛冶集団です。その祖は守近とされていますが、作品が皆無のため、守家を事実上の祖とし、子に真守、門下には守重、守長、経家、光守らがいます。
最盛期は鎌倉中期から南北朝期に掛けて、作風は同時期の長船鍛冶に近似しますが、焼き刃に腰の極端にくびれた『蛙子丁子』の目立つ所に特徴があり、一派の代名詞にもなっています。
本作は大磨り上げ無銘、茎に『(金象嵌)守家』の極めがあります。日刀保では、『守家(と金象嵌銘がある)』とした上で、特別保存を付けています。この解釈に付いて協会に確認した所、『地刃の出来から、鎌倉末期を下らない畠田一類の作であることは間違いないが、守家の個銘までは入れ難い。』との回答でした。これが仮に無銘ならば、『無銘(畠田)』になるわけです。
互の目丁子乱れを主体に、蛙子丁子を交えた焼き刃は、如何にも畠田という感じで、時代相応の研ぎ減り、刃に細かな鍛え肌もありますが、地刃は健全、帽子もしっかりあります。鎌倉末期を下らない同派典型作です。