刀(津田越前守助廣写し) 筑州住宗勉藤原宗廣作
(ちくしゅうじゅうそうつとむふじわらのむねひろさく)
以大坂伝 昭和五十六年二月吉日(一九八一)
Katana:Chikushuju So Tsutomu Fujiwarano Munehiro
現代・福岡
無鑑査刀匠
特別保存刀剣鑑定書付き
刃長：74.6(二尺四寸六分強) 反り：1.7 元幅：3.43
先幅：2.38 元重ね：0.69 先重ね：0.53 穴1
【コメント】
宗勉は、昭和二年生まれ、本名を勝と言い、福岡市博多区山王に住しました。昭和二十一年から、父正光に師事し、同門の原宗弘、古城宗重らと共に切磋琢磨を続け、昭和三十年には、新作名刀展に初出品、その後文化庁長官賞、薫山賞など数多くの特賞を受賞し、平成二年に無鑑査の認定。平成二十七年二月、八十八歳没。
門下には子の宗兼好、昌親(無鑑査)兄弟、藤本光らがおり、その技を継承し、現在も活躍しています。 作風は、各伝法をこなしますが、特に相州伝、相伝備前を得意としています。名工の写し物も得意で、古刀では長義、大志津、左文字、新刀では虎徹の数珠刃、助廣の濤瀾刃、新々刀では清麿などの写しがありますが、『清麿写し』に於いては同工の右に出る者はいないでしょう。
本作は、昭和五十六年(一九八一)、同工五十四歳の頃の作、茎に『以大坂伝』とあるように、大坂新刀の最高峰、津田越前守助廣の濤瀾刃写しです。因みに、『筑州住宗勉藤原宗廣作』とあるのは、合作のことではなく、宗廣とは宗勉同人、同工は昭和五十年代に『福岡住宗廣作』などと切っている時期があり、その後は、『筑州山王住宗勉作』が主流となります。
良く詰んだ精良な地鉄、互の目乱れを主体に、角張った刃、大互の目を交えた焼き刃は、濤瀾風に連なり、刃縁明るく冴え渡り、刃中互の目足繁く入り、繊細な金筋、砂流し掛かるなど、正に本歌の濤瀾刃に迫る出来映えです。
同工の写し物が上手いのは、本歌を良く研究し、その出来を分析する観察力の鋭さ、更にそれを再現する技量とセンス、これらが相当高いレベルでそれが備わっているからだと思われます。
本作の場合は特に刃文、この刃文の雰囲気は容易く出せるものではありません。
また抜刀の達人の方からの確かな情報によると、宗さんの濤瀾刃は物凄く斬れるそうです。実際に試した方なので、間違いありません。
何を写しても上手い宗勉、現代の最上大業物、この度、特別保存鑑定まで付きました。是非、同工の名工写しコレクションに加えて下さい。
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