脇差し　備州長船盛光
(びしゅうおさふねもりみつ)
応永卅一年二月日(一四二四)

Wakizashi:Bishu Osafune Morimitsu

古刀・備前　室町初期　大業物
拵え付き(特別貴重小道具認定書付き)
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長：36.2(一尺一寸九分強)　反り：僅か　元幅：2.66　元重ね：0.61　穴2(内1埋)

平造り、庵棟低め。　表は護摩箸、裏は細い棒樋をハバキ上で丸留める。　鍛え、板目に流れ肌を交えて良く詰み、地沸厚く付き、直調の映り立ち、地景良く入り、地鉄良好。　刃文、細直刃調で、刃縁匂い勝ちに小沸付いてやや沈み勝ちに締まり、刃中葉、小足、逆足入り、一部金筋、砂流し掛かる。　帽子、直調で先尖り小丸風に返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。　銅に金着せハバキ。　時代研磨。　白鞘入り。
上合口拵え(江戸後期　全長44.5　鞘　朱の刻み鞘　こじり、返り角、栗型、鯉口、縁頭、総金具は赤銅研磨地金の平象嵌、菱紋図　銘加州住　水野源四郎の同作同図　柄　親鮫　出し目、赤銅金色絵、抱き牡丹図)付き。

【コメント】
長船盛光は、応永備前鍛冶の代表工、室町期に於いて同銘が数代に渡っていますが、室町初期応永(一三九四～一四二八)頃に活躍した修理亮(しゅりのすけ)盛光が最も上手く、同時期の康光、師光と共に『応永の三光』とも呼称され、長船鍛冶中興の祖としても名高い名工です。
本作に俗名はありませんが、その銘振り、年紀からして修理亮盛光に間違いなく、寸法一尺一寸九分強、身幅の割に寸の延びた姿は、典型的な応永期の小脇差しです。
細かな流れ肌を交えた綺麗な地鉄には、刃寄り直調の映りが見られ、細直刃調の刃文は、刃縁匂い勝ちでやや沈み勝ちに締まり、刃中葉、小足、逆足入り、一部金筋、砂流し掛かるなど、応永備前直刃の典型を示しています。
昭和二十六年三月の古い登録証は、三重県登録、付属の外装は、江戸期の上質な逸品、総金具は赤銅研磨地金平象嵌菱紋図、加州住水野源四郎による一作物です。
地刃に少し鍛え肌もありますが、『応永の三光』、修理亮盛光の年紀入り作です。